東京五輪代表の高橋英輝(28=富士通)が1時間20分19秒で初優勝した。

50キロ東京五輪代表の川野将虎(22=東洋大)とのトップ争い。13キロ付近から一人旅に入った。ただタイムは、自己ベストからは3分近く遅れた。向かい風や20度前後まで上がった気温など条件に恵まれなかったとはいえ、笑顔は少なかった。

会見の第一声のコメントも反省だった。

「オリンピックでメダルを取るという目標へ向けて、今の立ち位置と、課題の大きさをあらためて感じた」。

そう痛感させられたのは、6キロ付近。川野のペースアップに反応できず、1度、背中が遠のいた。その後に調整が十分でなかった川野の足取りが重くなり、追いつくことができたが、五輪のような世界の強豪が相手だったら、置き去りにされてもおかしくないレース運び。「技術面と体力面の仕上げの足りなさ、と実力のなさを感じた。あそこでぱっと反応できるのが、20キロではすごく大事。反応できなかったのは悔しい」と言った。一人旅ではあったが、ラスト5キロで失速したのも課題。「力の入れ抜きだったりとか、最初の15キロをうまくまとめきれなかった。最初の動きのまとめる力の足りなさが、ラスト5キロの失速につながった」。優勝の喜びは少なめ。突き付けられた現実を見つめた。

メダルを誓う東京五輪は、海外観客の受け入れが断念された。その事についての質問を受けると、「1年延期になって、ずっと考えている事は、選手、見てくださる方が安心して、陸上競技を、スポーツを心の底から楽しめる環境で、最高のパフォーマンスをしたい。オリンピックへ向けて、少しでも多くの人が、納得できる、安心した形で、スポーツを楽しみたい。スタートラインに立てたなら、自分のできることを全部やりたい」と語った。