レースが終わった直後は、仲間と満面の笑みと充実感にあふれていた。しかし、少し時間が経過し、コーチと電話しながら、結果について考えると、悔し涙があふれ出た。

日本記録保持者の山崎有紀(26=スズキ)は5909点で4連覇を果たした。その第一声では「いや、う~ん。悔しいですね」と言った。前半4種目の第1日は3447点で、それは3週間前に自身が塗り替えた5975点の日本記録時よりも66点多かった。しかし、後半3種目の第2日は奮わず。走り幅跳びでは「時計を見間違えていた」と規定の時間内に跳ばず、チャンスを1度ふいにしたミスもあった。強化してきたスプリント系の種目では力を発揮できたが、「フィールド種目がよくなかった」。合計の5909点はセカンドベストでも、見据える目標は高いから満足できなかった。

女子7種競技は世界の壁が高い。東京五輪の参加標準記録は6430点。過去に五輪、世界選手権に出た日本人は中田有紀、ただ1人になる。17年ぶりとなる日本新記録を更新した時から、目標は明確になった。山崎は「前は遠かったように思えていた世界選手権、オリンピックに今は行けるんじゃないかと思えるようになった。(将来は)世界選手権、オリンピックに出られるようにしたい」。勝って流した悔し涙を糧に、世界で戦える選手へと強くなっていく。