政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会が16日、行われ、7、8月のイベントは、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置解除後、約1カ月の経過措置として、定員50%以内なら観客上限を1万人とする政府案を了承した。菅義偉首相は東京五輪の観客上限は国内イベントに準じて判断する方針を示していることから、五輪に準用される見通し。一方、尾身茂会長は「五輪とは関係ない話として了承しました」とし、分科会は五輪の観客上限への適用は認めないと示唆した。

なぜ、政府案を了承したのか。尾身氏は「イベントについて考えるのは2カ月に1回のペースでやっている」とし、定例の見直しを示唆。「分科会としては、政府の提案にはそうだ、ということを決めた。それ以上、以下でもない」と、了承した事実だけを強調した。五輪では規制をさらに厳しくすべきかとの質問には「近日中に意見をまとめて出すので、そこで申し上げたい」と、明言を避けた。

尾身氏は国会で、東京五輪・パラリンピックのリスク提言を行うと表明している。尾身氏は「国や組織委員会が(観客上限を)決める前、つまり20日までに意見を発表する。最後の詰めを行っている」と状況を説明。無観客の提言の可能性について「そういうことも含め、近日中にお話しする」とし、含みを持たせた。

イベントは6月末まで、宣言や重点措置解除後は「定員50%以内か5000人のいずれか大きい方」が可能だった。開会式などが行われるメインスタジアムの国立競技場の定員は6万8000人。これまでの基準だと、3万4000人が入場可能だった。感染が完全に終息しない状況から、政府内では「多いのでは」と懸念を示す声が上がっていた。

また、宣言や重点措置解除後、大声なしの場合、定員5000人までの施設では満席とすることも可能となった。