7月23日に開幕する東京オリンピック(五輪)の観客数上限を最大1万人とすることが決まったことを受け、放映権を持つNBCテレビは、「新型コロナの感染拡大の懸念があるにも関わらず一部の日本国内の観客が許可される」と報じた。日本政府は感染状況が悪化すれば無観客にできると警告を続けているが、組織委員会が一部の医療専門家からの批判に直面する中で50%の観客動員を発表したことは大会を開催する方向で前進していることを示唆していると伝えている。

また、CNNテレビも「世界各国から選手や関係者が集まる五輪は、他のスポーツイベントとは状況が全く異なり、観客にワクチン接種が求められない中での有観客は感染拡大のリスクが高いと警告。観客はマスクを常に着用し、大声で話したり、叫ぶことは禁じられ、県をまたぐ移動では自宅と会場間の直接移動のみするよう求められる」と、皮肉った。

一方、USAトゥデイ紙は、「専門家の心配をよそに観客を入れて開催する」と報じ、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会会長で医師の尾身茂氏が感染リスクを考慮して無観客開催が望ましいとの考えを示していたことを紹介。観客はマスク着用し、大声での声援、会場外の場所に立ち寄ることは認められないものの検査で陰性を証明する必要はないと伝えたが、同時に日本政府の決断を支持するとのスーザン・ライアンズ米五輪・パラリンピック委員会委員長のコメントも紹介している。

Yahoo!Sportsは、「医師の助言にもかかわらず有観客で開催するも、大声で応援することは禁じられる」と皮肉を込めて報道。20日に緊急事態宣言を解除して24時間以内に有観客を発表したが、依然として感染対策のための一部規制は続いていると報じ、感染の収束が見通せない中で観客動員に踏み切ったことを伝えている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)