新型コロナウイルスの感染拡大で、東京オリンピック(五輪)延期を求める世界の声が止まらない。

21日には、陸上で金メダル9個に輝く五輪のレジェンド、カール・ルイス氏(58=米国)が2年の延期を支持。フランス水泳連盟は前日の米国水連に続き国際オリンピック委員会(IOC)に延期を要請する声明を出した。IOCは今週開く臨時理事会に向け、すべての国内オリンピック委員会(NOC)から聞き取り調査をするという。

  ◇  ◇  ◇

米陸上界の大物、ルイス氏が口を開いた。「全く先の見えない状況で、選手が準備をするのは本当に難しい」。米FOX系のテレビ局が延期を支持する同氏の目線で伝えた。時期について1年よりも北京冬季五輪のある22年が適しているとして「冬季五輪のある年に移せば、祝祭の五輪イヤーになる」という考えも示した。80、90年代に大活躍し「ミスター五輪」の声だけに、その影響も大きい。

競技団体の動きも加速する。21日にはフランス水泳連盟が五輪通常開催の立場をとるIOCに対して「受け入れられない。延期の選択肢を全力で精査するべきだ」という声明をだした。前日に競泳大国の米国水連がIOCに出したのに続く「延期要請」になる。

何とか持ちこたえている日本に対し、最悪な状況にある欧米からの延期を求める声は強い。ただ、IOCのバッハ会長は「中止や延期を決めるなら、しっかりとした根拠が必要。今は時期尚早」と話している。IOCに求める決断時期については意見が分かれる。

国際陸連のセバスチャン・コー会長は「選手の安全を犠牲にしてはならない。決断は非常に早く、自明なものとなるだろう」と早期の決着を予想。米水連から延期の要請を受けた米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)は「時期尚早」というIOCに配慮して「より多くのデータや専門家の助言を集める機会を与えるべき」と決断まで猶予を持たせた。

17日の臨時理事会で予定通りの7月開幕を確認したIOCも、日々悪化する新型コロナの状況に今月2回目の臨時理事会を今週に開く。USOPCによると、IOCは各国のNOCに対して選手の練習への影響などを聞き取り調査しているという。米トランプ大統領は延期について安倍晋三首相が「近く判断する」との見通しを示している。