新型コロナウイルスの感染拡大で史上初めて延期された東京オリンピック(五輪)・パラリンピックが、来年7月23日から8月8日の日程で開催されることが30日、正式決定した。組織委員会、東京都、政府と国際オリンピック委員会(IOC)の4者で午後6時から電話会談が行われ、大会日程について集中的に議論された結果、合意した。IOC臨時理事会でも承認された。

東京・晴海の組織委で午後8時45分から会見が始まり、森喜朗会長(82)が「五輪は21年7月23日から8月8日、パラリンピックは8月24日から9月5日」と明言。「選手の準備や、夏休みにかかった方が輸送面やボランティア確保や観戦者のことも考えると、1年延期の夏開催が望ましい」と申し入れ「夏は暑さや台風の心配もあるが、それは今夏でも同じ。万全の対策を取る。以上を踏まえまして開催時期を夏とすることで合意いたしました」と説明した。

延期決定から6日でのスピード決定。武藤敏郎事務総長が先週、IOCのクリストフ氏と連日電話会議を行ってきたことを森会長は明かし「先週からの積み上げの延長」と現場の調整を評価した。来年7月23日に決まったことについて、同月の16日や30日も候補にあった中で「なぜ23日になったか」と聞かれると、武藤事務総長が「前者は都議選と近かった。後者は8月15日の終戦記念日と重なる。我が国にとって大事な日なので避けたかった」と、さまざまな配慮があったことも明らかにした。

協議セッションについては、武藤事務総長が「まだそこまで至っていない」としたが「期間中に土日が3回くるようになっていて、重要な決勝戦などが当たるようになっている。そこは守っていく、大幅に変えることはないだろうと思っています。断言はできないけれど、IF(国際競技連盟)から変えてほしいと言われる可能性も高くないと思っている」と見通しは語った。

検討された春開催に関しては、森会長が「夏も春も議論としてはあったが、新型コロナのことを少しでも長く見ておいた方がいい、という点からも夏のメリットの方が多いとなった。神頼みみたいなところもあるが、1年の延期で不退転の決意」と新型コロナウイルスの終息を願っていた。【木下淳】