新型コロナウイルスの影響で来夏に延期された東京五輪・パラリンピックについて大会組織委員会の森喜朗会長は4日夕方、都内で東京都の小池百合子知事と会談し、目に見える形で合理化を進める方針で一致した。

一方で、政府の内閣官房オリパラ事務局は独自で、感染予防のための簡素化案について論点整理を行い、3日までに組織委に提出。その中には選手や大会関係者、観客へのPCR検査を実施することや、選手村の外出制限、開閉会式への観客入場を半数にする案、競技会場の観客席を削減する案などが盛り込まれた。

4日夜、取材に応じた組織委の武藤敏郎事務総長はこれらについて「座席削減は非常に大変なこと。簡単ではない。まだ何も決まっていない。PCR検査は組織委(の予算)ではできない」と話した。

政府が論点整理をまとめたのには、安倍晋三首相が掲げた「完全な形での開催」にこだわりすぎ、大会が中止となること回避するため、代替案としてコロナ禍での五輪運営を模索する狙いがある。ただ、観客を削減する場合には販売済みチケットの問題や、組織委の収入減など課題が多い。

運営計画は本来、組織委が国際オリンピック委員会(IOC)と協議し策定するものだが、政府の“現実離れ”した独自案に組織委は面を食らった形だ。関係者によると、東京都は政府案を事前に知らされていなかったという。

高谷正哲スポークスパーソンは組織委としての新型コロナ対策の具体的な計画は「今秋以降に検討する」とした。【三須一紀】