東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は23日、都内で開閉会式企画・演出チームの新体制発表会見を行った。狂言師の野村萬斎氏(54)率いる7人のチームを解散し、パラリンピックの演出統括だったクリエーテイブディレクター佐々木宏氏(66)を新体制の総合統括に任命した。佐々木氏はコロナ禍の式典を簡素化する上で64年東京五輪のシンプルな開会式がヒントになるとの考えを示した。

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佐々木氏は64年東京五輪を回顧した。「風船が飛んで、ハトが飛んで。ブルーインパルスが五輪を描くサプライズはあったが、あとは入場行進とあいさつ。あんなにシンプルなのに、あんなに感動できたところに戻れば良いのではないか」。コロナ禍における簡素化が厳命の式典と56年前のアジア初の五輪に共通項を見いだした。

来夏の式典の在り方について「肥大化してきた流れを新しく切り替えるチャンスだ」と言った。目指す方向性を聞かれると「今、オリパラはやるべきではないという声がたくさんあるのも承知している」と前置きした上で、「コロナを言い訳にせず、コロナがなければできなかった新しいアイデアがある式典にし、突破口のような希望が表現できれば」と語った。

組織委の武藤敏郎事務総長は式典計画の見直しを図る上で、迅速な準備体制が必要との理由から新チームの構築が必要だったと説明。映画監督・山崎貴氏、振付家・MIKIKO氏、歌手・椎名林檎氏、映画プロデューサー川村元気氏、パラ・クリエーティブプロデューサー栗栖良依氏は22日付で活動を終えた。

「7人ではできなかったか」と問われた佐々木氏は「そうは思わないが、五輪は特にMIKIKOさんを中心にギリギリまで制作し、リハーサルという段階だった。それがコロナで止まり頭を切り替えるのは大変なこと。迅速に進めないといけない中で、組織委の判断があった」と説明。

旧体制へ「7人でやってきたことを無駄にしないよう皆さんの思いも受け止める」とメッセージを送った。ただ「状況としてはゼロから見直さなければならない部分がたくさんある」と述べた。【三須一紀】