新型コロナウイルスの感染拡大を受け、首都圏を対象とする緊急事態宣言が発効した8日、東京都医師会の尾崎治夫会長(69)が取材に応じた。同宣言が発令されたことで東京オリンピック(五輪)・パラリンピックへの風当たりが一層厳しくなる中、開催を実現するためには「無観客の議論からし直すべきだ」と提言した。

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尾崎会長の一問一答

-国際オリンピック委員会は選手へワクチン接種を推奨している。いつまでに打てば大会に間に合うか

「打った直後は痛みや熱が出る。選手にとっては影響が大きいので6月には2回目を打ち終わりたい。逆算すると4月には1回目を打った方が良い」

-ワクチンは有観客にも有効か

「本人の重症化は予防できても他人への感染を抑止できない可能性がある一方で、感染自体を抑えられるかもしれない。いずれにせよ無観客計画が準備できていれば、次のステップで有観客の議論ができる」

-政府は競技が終わった海外選手に全国510自治体が登録するホストタウンでの交流を推奨している

「医療体制が十分でない地方で無症状の選手が感染を広めたらどうするのか。競技後、海外選手は真っ先に帰国した方が安全だ」

-濃厚接触者と判断された選手の大会出場可否はどうすべきか

「試合直前のPCR検査で陰性ならば出場しても良いのでは。潜伏期ではウイルスは増殖していない。陰性でも濃厚接触者だからといって、感染するかもしれないから出場させないという方が非科学的だと思う」

◆尾崎治夫(おざき・はるお)1951年(昭26)11月7日、東京都生まれ。77年順天堂大医学部卒。90年東久留米市に、おざき内科循環器科クリニック開設。11年東京都医師会副会長を経て、15年から現職。

※崎は崎の大が立の下の横棒なし