東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)が3日、日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で、女性蔑視と取られる発言をした。JOCが女性理事を増やしていく方針を掲げていることを受け、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」と述べた。

かつて会長を務めた日本ラグビー協会で進行に時間がかかったと指摘。「女性は競争意識が強い。誰か手を挙げると、自分も言わないといけないと思うんでしょうね」と語った。約40分に及んだ「演説」では、その後も「女性を増やす場合は発言の時間もある程度は規制しておかないと、なかなか終わらないので困る」「組織委にも女性はいるが、みんなわきまえている」と配慮を欠く言葉が並んだ。一方で、「国際的に大きな場所を踏んでおられる方々ばかりですから、お話も的を射たご発信をされて非常に我々も役立っている」とも話した。

日本のスポーツ界は女性進出が遅れ、国が各競技団体へ女性役員の増加を求める指針を出したばかり。「多様性と調和」をコンセプトにする組織委員会のトップとしても、問題視されることになりそうだ。国際オリンピック委員会(IOC)も、14年に承認した中長期改革の指針「五輪アジェンダ2020」で、五輪参加者の男女比率を同等にする目標を設定している。

森氏は開幕まで半年を切った五輪・パラについては「どんなことがあってもやる」と改めて強調した。「無観客ということも当然想定しながら、いくつかのシミュレーションをしている」とし、海外からの観客受け入れの水際対策を課題に挙げた。

首相時代も含め、その発言は物議を醸す機会は多かった。国内世論が五輪開催に厳しい中での、スポーツ界の流れに逆行する発言。さらなる逆風を生むことになりそうだ。