東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)が4日、都内で報道陣の取材に応じ、辞任を否定した。

前日3日に日本オリンピック委員会(JOC)臨時評議員会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと発言した問題について謝罪。その上で「辞任するという考えはありません」と職を全うする意向を示した。

森会長は11年9月、東京2020招致委員会の評議会議長に就任。13年9月7日に五輪・パラリンピックの招致に成功した。14年1月24日に発足した組織委の会長に就いて以来、国立競技場の建て替えやエンブレム問題、マラソン・競歩開催地の移転、そして昨年3月の近代五輪初となる延期の陣頭指揮を執ってきた。

その自負を「一生懸命、献身にお手伝いして(組織委発足から)7年間やってきた」という言葉に込めて「自分からどうしようという気持ちはありません。皆さんから邪魔だと言われれば、おっしゃる通り、老害が粗大ごみになったのかもしれませんから、そしたら掃いてもらえればいいのでは」と続けた。

続投の意思については「大会まで、あと半年。関係者一同、一生懸命、頑張っておられます。その責任者である私が皆さまの仕事の支障になってはいけない。世界のアスリートを受け入れるため、五輪精神に基づいて引き続き献身、努力していきたい」と述べた。

前日のJOC臨時評議員会では「女性は競争意識が強い。誰か手を挙げると、自分も言わないといけないと思うんでしょうね」「女性を増やす場合は発言の時間もある程度は規制しておかないと、なかなか終わらないので困る」「組織委にも女性はいるが、みんなわきまえている」などと配慮に欠く発言が続き、国際オリンピック委員会(IOC)が男女平等を推し進める中での女性蔑視とも取れる言葉で問題視されていた。

大会開催へ国民の理解を得たい中、責任を取らないことで批判が強まるのでは? と聞かれると「ご心配いただいたのであれば、ありがとうございます。先ほど撤回しますと。五輪精神に反すると思ったから、そう申し上げた」と答えた。

最後の質問で「今回の発言にみんな怒っている。五輪運営のトップが女性を尊重しない。森さんの五輪を見たくないという声も上がっているが、どう受け止めているか」との指摘には「謙虚に受け止めている。だから、撤回すると言っています」と返して締めた。