東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会の会長交代をめぐって混乱が起きた。森喜朗会長(83)が12日、女性蔑視発言の責任を取って辞任。同氏から後継指名されていた日本サッカー協会(JFA)相談役の川淵三郎氏(84)は、組織委の緊急会合で新会長候補を辞退した。

11日夜には報道陣の前で就任へ意欲を見せていたが急転。選考過程の不透明さを理由に同日午後10時過ぎ、組織委武藤敏郎事務総長らの説得により、白紙撤回を決断した。新たな会長候補には橋本聖子五輪相(56)が浮上している。

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◆64年東京五輪組織委員会 62年9月、防衛庁長官などを務めた初代会長の津島寿一、日本水泳連盟会長などを歴任した事務総長の田畑政治が辞任に追い込まれた。原因は同年夏のアジア大会(ジャカルタ)。当時、中国やアラブ諸国と連携強化していたインドネシア政府の方針で参加資格を持つイスラエル、台湾のIDカードが発給されず、事実上の参加拒否となった。国際オリンピック委員会(IOC)は「正式競技大会として認めることはできない」と表明。重大な選択を迫られた日本は、ジャカルタに派遣されていた選手団本部の判断でウエートリフティングを除く13競技に参加した。金74個、銀57個、銅24個と成果を残したが、大会後に政界有力者らから責任を追及され、2人は日本オリンピック委員会(JOC)の要職とともに退くことになった。組織委会長の後任は安川第五郎(日本原子力発電初代社長)で、五輪本番の指揮を担った。