東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会の新会長に選ばれた橋本聖子氏(56)が18日、就任会見を行った。

 

-会長を引き受ける決断はいつしたのか

「昨日、ご報告と言いますか、検討委員会の流れの連絡をいただきました。その後、考えさせていただきまして、正式に私自身から理事に、この東京大会の理事に推挙したいとの検討委員会の考えを、受諾させていただきました。それを評議会、理事会にお謀りいただき、正式に理事に推挙し、会長という流れになるという報告をいただきました。一連の手続きの中で、透明性をもって、選ばれていくという流れをお聞かせいただき、多くの方から会長職に、というお話をいただきました。大変悩んだ結果でありますけど、国務大臣を辞職する旨を、今日午後に菅総理大臣に提出させていただきました。今まで東京オリンピック担当、男女共同参画、女性活躍といった国務大臣の立場から、この東京大会を支えることを全うしたいと、強く思っておりました。直前まで非常に悩みました。ですが、私自身を推挙いただくにあたって、アスリートの皆さんの声、こういう状況だから乗り越えていかない。そういったものを伝えていただいた中で、組織委員会の会長となって、組織委員会、東京都、IOCをサポートいただく立場に変わる。東京都と政府と連携していくということ。立場が変わっても、この東京大会の開催に向けて、前に進んでいくには、私自身が受けるとということが必要、重要だと私自身が思いまして。決断をさせていただきました」

 

-ジェンダーの問題をどう反映させていきたいか。7年前のキスを強要した件で、一部で組織委員会のトップには相応しくないとの意見があるのも事実。そうした声をどう受け止めているか

「ありがとうございます。一連の問題に対して、私が会長職を担わせていただくことになりました。これは早急に対応が必要と思っております。これは今月内には新たな方向性をしっかり提示したい。組織委員会での女性の比率を40%にする。そして多様性と調和を打ち出して、タスクフォースを立ち上げるなどして、IOCにもIPCにも提言させていただく。多くの皆さんにご理解をいただけるように、これは早急にやらせていただきたい。そして、先ほど、ご指摘をいただきました、私自身の軽率な行動については、深く反省をしております。7年前にそういった、一連の問題が出されたわけですけど、その事については、その当時も、今も、深く反省をしております。しっかりと、その経緯を受け止めながら、会長職を全うすることで、多様性、男女平等、オリンピズムの原則、そしてオリンピックムーブメント、そういったことを着実に進めていくこと。身を持って進めていくことが、皆様にご理解をいただけることになるかと思います。非常に厳しい声は受け止めております。そういったことを1つ1つ解決するには、自分自身が身を正して、東京大会がどういう位置付けであるか、そしてジェンダーを始めとする多様性と調和というものを、どのように改革の中で、東京大会の組織委員会として、世界を打ち出すことに、すべてがかかっていると思います。私自身、身を投じて、この場に来ましたので、全力でその問題解決に、自ら進んでやっていきたいと思います」

-森前会長は政治の師でもある。会長職を引き受けるにあたって、相談は。どんな話をしたか

「私自身の政治の師でもあります、森前会長、森先生は、やはり私にとっては、大変特別な存在であります。今回の一連の状況に対して、森会長から発言の撤回と謝罪があり、そして辞任をされたということでありますので、そのことは真摯(しんし)に受け止め、私自身がそういう問題を解決するために、努力をしていかないといけない。森会長とは引き継ぎ事項がありますので、来週早々にも、森会長から、私が新しく会長になった立場として、今までの事についての引き継ぎを受けたい。長年に渡りまして、ラグビーW杯、サッカーW杯、そして、オリンピック・パラリンピックの招致活動も含め、スポーツ界にご尽力いただいた先生であります。アドバイスをいただかなければいけない局面も、あるのだろうと思っております。一連の状況と、同時に今までの森会長の実績と経験というのを私自身が前向きに捉えて、しっかり前に進める原動力にすることが、私自身の会長としての役割。正していくべきものと、そして継承するものと、いろいろあると思いますけれど、しっかりと区別をしてやっていきたいと思います」

-大臣は辞める。議員はどうするのか。見方としては政府のいいなりになるとの疑念も少なからずある。スポーツと政治の関係の部分で、どういう距離をとりたいか

「今までもオリンピック、パラリンピック大会に関わらず、スポーツという政策的な部分においては、議論を重ねて、協力しあって、成功へ努力をしてきたという経緯があります。議員は辞職せずとも、この組織委員会の会長になるのは、IOCも、国も認めていただいている。あとは疑念を持たれないような、行動を取っていくべきだと思っております。その点はしっかりと、ご理解いただける状況を作っていきたいと思っております。オリンピックパラリンピック担当大臣という立場で、組織委員会、東京都、IOC等と連携をとってきた立場を、今日まで取らせていただきました。ある意味でスポーツというもの、そして東京オリンピック、パラリンピック組織委員会から1歩離れて、サポートする立場を経験させていただきました。国がやるべきこと、そして東京都がやるべきこと、組織委員会がやるべきこと。これは連携はしないといけないが、役割はすべて違う。国に左右されるのはなく。その経験を生かし、組織委員会の会長という立場で、何をやっていかないといけないのか、私なりに理解しているつもりです。しっかりと明確に打ち出して、早急な解決をするために全力を尽くしたいと思っております」