丸川珠代五輪相は6日、都内で会見し、東京オリンピック(五輪)・パラリンピックに出場する選手団全員に、米ファイザー社から新型コロナウイルス感染症のワクチンが無償提供されることを発表した。

先月に渡米した菅義偉首相が同社幹部と電話会談した際に申し出があり、「私からもIOCのバッハ会長に対して、具体的な調整を進めていただくようお願いを致しました」。五輪、パラリンピックあわせて選手約1000人分、監督、コーチ約1500人分が用意される。

各選手が2度の接種後に来日出来るよう、5月末までに各国へ提供される予定。「政府としても前向きに受け止めて、今後、速やかに関係機関と調整を図っていきたい。(一般の)優先接種の対象者、医療従事者の方に対して負荷をかけないということが大前提」。海外遠征や強化合宿などが行われる日本選手団とも日程を調整しながら、「その中でどういう接種体制が組めるのか」と述べ、計画を進めていく意向だ。

だが、ワクチンの一般接種も進んでいない日本の状況下で、選手らへの優先接種に批判の声が挙がる可能性もある。「これから5月半ばに、順次いままでと違うペースで進んでいくと伺っていますので、そのペースの中で、どのように選手にうてるのかということではないか」と理解を求めていく方針。

ボランティアなどへの接種が間に合うかも不透明だが「安心、安全な大会としてワクチンをうっていなくてもいいような体制はつくっております。ワクチンは重症化を防ぐには非常に大きなカギ。一方で100%感染を防げるかといったらそうではない。感染防御の観点から、毎日の検査、選手と一般市民が絶対に触れ合うことのない動線や移動手段の確保は変わらずやっていきたい」。

6月にも結論を出す観客を含め、ワクチンを前提としない大会という方向性に変わりはない。【鎌田直秀】