国際オリンピック委員会(IOC)が、東京五輪の参加選手らに対して提出を義務付けている同意書に「新型コロナウイルス感染症や猛暑によって死亡するリスクも自己責任」との文言が含まれていることが明らかになった。

Yahoo!(ヤフー)スポーツが同意書のコピーを入手。それによると、過去の大会の内容から新たに新型コロナに関するすべてのリスクを選手が負うことが付け加えられており、感染して健康被害が出た場合のみならず死亡した場合も主催者は免責されることになる。

ヤフースポーツによると、前大会のリオ五輪では感染症や猛暑に関する記述はなく、「死亡の可能性」に言及する異例の内容に疑問の声が出ているという。提出が義務付けられている同意書への署名を拒否した場合はどうなるのか、IOCからは明確な回答はなかったと伝えている。

米国の医療専門家らからもIOCのコロナ感染対策をまとめたプレーブックには批判が出ており、医学誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に4人の専門家が「感染対策は不十分だ」と指摘する論文を掲載している。

その中で、感染のリスクは自己責任であるとの同意書にも言及しており、IOCは練習並びに試合期間中の完全で包括的な保険を提供するべきだと主張している。(ロサンゼルス=千歳香奈子)