東京オリンピック(五輪)サーフィン男子代表の大原洋人の姉沙莉(26)が6日、オンライン取材に応じ、地元千葉・一宮で行われる五輪に臨む弟への期待を語った。自身はボディボードのトッププロで、19年APB世界ツアーでチャンピオンに輝いた実力者。今も競技に打ち込む中、大原の活躍に刺激を受けている。

大原が念願の五輪切符をつかんだことに、姉は「かなりたくさんの言葉をもらってるなかで、あえて私が言うことは何もない。心の中ではよくやったと思っていますよ」。目標はそこじゃない。あくまで五輪でどんなサーフィンを見せるか。競技は違えど、世界の海を相手に戦うプロ。自然相手にする難しさや厳しさを肌で実感している。ベストな状況で挑んでほしいからこそ、陰ながら見守る。

サーフィンが専門の父とボディーボードを愛する母と共に、約20年前に一宮に移住。車を走らせれば、そこは海。五輪会場の釣ケ崎海岸をホームブレイクに毎日通った。沙莉は「小学校の時に両親からボディーボードかサーフィンのどちらを選ぶかと尋ねられ、私はボディーボードを選びました。今思うと弟と同じもの選びたくなかったのかもしれません」と笑う。

小学校の頃は姉弟けんかが絶えなかった。「(洋人は)弟というよりは双子みたい。釣ケ崎(海岸)に向かう車移動の際には、どちらが助手席に乗るかでけんか。お互い小学校まで空手をやっていたので、結構激しかった(笑い)」。大原は中学2年から米カリフォルニアに拠点を移し、姉も海外遠征を繰り返す日々に。かつてのようにけんかをすることは次第になくなったが、競技のこととなると今も話題は尽きない。

サーフィンに取り組む大原から学ぶこともしばしば。「ボディーボードはサーフィンほど技がないので、洋人から『見ているとつまらない』と言われたこともあります。サーファーの世界では単調に見られるのだと感じ、お父さんや弟から言われたことを踏まえてどう改善するかと考えました」。17年にAPB世界ツアーで初優勝を飾り、18年には女子のベストパフォーマンス賞を獲得。そして19年に世界チャンピオン。世界の舞台で輝く陰には、切磋琢磨(せっさたくま)する家族の存在があった。

ボディーボーダーとして活躍する姉について、大原は「お互い選手として海外や国内の試合に出ているので、どちらかが結果を出せば負けたくないという気持ちになる。お姉ちゃんが世界チャンピオンを取った時は『自分より先にいったな』という気持ちがあった。だからこそオリンピックに出たい気持ちが強くなった」。互いに高め合う存在になっている。

五輪に初めて採用されたサーフィン。弟のひのき舞台が目前に控える中、姉は「日本の海でオリンピックが行われるだけでもかなりアドバンテージ。いつも通り乗れれば、(洋人の)メダルもあり得る」とエールを送っている。