新型コロナウイルス感染拡大で外出自粛の「ステイホーム」が続いている。アスリートも同じだが、世界を舞台に戦ってきた、たくましい選手たちのスマートフォンなどには「これ!」というオススメの風景がある。“映え”る絶景や思い出の街、風景など、思い入れある1枚を随時連載で紹介する。第1回はレスリング男子の高谷惣亮(31=ALSOK)。

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【ロシア・ヤクーツク】

2019年3月でした。到着してすぐに鼻毛が凍りました。3月の平均気温はマイナス30度ほど。1月はマイナス40度にもなるとか。世界でも人が住む最も寒い地域の1つらしく、口では息ができません。のどが凍るので。そこで鼻から吸うと、痛くて、毛がバリバリになってて仰天しました。

写真はホテルのロビーにいたマンモスです。剥製ではなくレプリカですが、永久凍土から発見されたマンモスが有名で博物館もあるそうです。氷の洞窟や、街中に普通につららが落ちていたりします。海外の試合も多いですが、さすがに、こんな寒いところはないですね。

日本人やモンゴル人に似たような顔の方も多く、親日家の人も多いです。地理的に遠くなく、通訳してくれた方も北海道大学で日本語を学び、母国に戻られた人でした。団体戦で争われるW杯に出場したのですが、応援も温かかったですね。

この大会は僕にとって1つの転機にもなりました。階級を86キロ級に上げて臨んだ初の国際大会。世界ランク上位者にも通用し、自信と確信を得ました。今は、自宅でシャドーレスリングなどに励む日々ですが、来年の五輪では極寒の地の経験も生かし、金メダルを狙います。

皆様ぜひ、とは言えませんが、寒すぎて鼻がバリバリになるのも、貴重な人生経験かもしれませんね。

◆高谷惣亮(たかたに・そうすけ)1989年(平元)4月5日、京都府生まれ。小学校時代は空手で黒帯取得も、兄弟の影響で中学1年で本格的にレスリングを開始。網野高では総体優勝。拓大時代の11年全日本選手権で初優勝すると、19年まで9連覇。ロンドン五輪16位、リオデジャネイロ五輪7位。14年世界選手権では74キロ級で銀。五輪を含めて同級での日本勢のメダルは18年ぶりだった。177センチ。