【ロッテ週間〈4〉唐川侑己のカットボール】打者目線で研いだ令和の魔球を完全公開!

所作の美しさ、球筋の美しさ。寡黙のオブラートに包む闘志。大好きな投手です。代名詞のカットボールについて、赤裸々かつ理路整然、かつ堂々とした語りを読んで、ますます好きになりました。「まねしたいならどうぞ」の深い自信が伝わってきます。(2021年1月18日掲載。所属、年齢などは当時)

プロ野球

◆唐川侑己(からかわ・ゆうき)1989年(平元)7月5日、千葉県成田市生まれ。成田高では甲子園2度出場。07年高校生ドラフトで2球団から1巡目指名を受け、ロッテ入団。08年4月26日ソフトバンク戦で初登板初勝利、平成生まれの勝利投手第1号に。11年に12勝。18年途中からリリーフを主な持ち場としている。181センチ、80キロ。右投げ右打ち。

カットボールの握りを正面やや左から

カットボールの握りを正面やや左から

横からも

横からも

投手には勝負球がある。ロッテ唐川侑己投手(31)の場合、それはカットボールだ。変化球なのになぜか、直球と同じ球速帯。「7回の男」として活躍したプロ13年目の昨季、左打者の懐に食い込ませ続け、防御率1・19の原動力になった。なぜ打たれないのか。唐川オリジナルともいえる魔球に迫る。

?手の甲を三塁側へ向ける意識

唐川のカットボールは、握りの時点でオリジナルだ。ボールの縫い目が最も狭まる部分に、人さし指と中指を縫い目と平行に置き、指1本分ほど左にずらす。親指はボールの裏側に置き、薬指の指先を親指の先に近づける。

リリースの時、直球で手の甲が二塁ベース側に向くとするなら、カットボールでは極端に表現すれば三塁側に向ける意識で投げるのだという。

─これでどのように腕を振る?

?手首と指をロック 直球と同じ振り

唐川直球と一緒です。角度だけはしっかりやって。手首も指も全部ロックして、直球と同じように腕を振っています。

─最後に残る指は?

リリース時の指の動き。こま送りで順を追って。左手はボールを添えている役目

リリース時の指の動き。こま送りで順を追って。左手はボールを添えている役目

指の長さと美しさにも注目

指の長さと美しさにも注目

最後の最後は人差し指。ボールに意志を宿す

最後の最後は人差し指。ボールに意志を宿す

唐川人さし指ですね。

中指を先に離し、最後に人さし指でスライダー方向への回転をかける。テレビ画面では直球のように見える。打者側からはボール1~2個分、スライダー気味に吹き上がってくるように見えるという。

─曲がっているのはマウンドから分かる?

唐川(テレビで)見ている人よりは分かりますよ。でもトラックマンのデータ上だと、別に曲がってはいないんです。直球はシュート回転するんですけど、僕のカットボールはそのシュート成分が少ない。球にもよります。本当にスライダーのように曲がっている時もあるし。

─ホップ成分が多いとも言われる

唐川基準値から40センチのホップ成分があるみたいです。その数字を目安にカットを投げています。

?スライダーを小さく

─左打者の内角ギリギリで見逃し三振を奪うならどこを目がけて投げる?

唐川直球を左打者の内角に投げるのと同じ感じです。曲がると思って甘めをイメージすると、腕が横振りになって、離れて、あまりいいボールじゃなくなるので。

パ・リーグの強打者たちを苦しめる魔球は、千葉・成田高時代に先輩に教わったスライダーの握りがベースになっている。

─握りの秘密は

1980年11月、神奈川県座間市出身。法大卒、2003年入社。
震災後の2012年に「自転車日本一周」企画に挑戦し、結局は東日本一周でゴール。ごく局地的ながら経済効果をもたらした。
2019年にアマ野球担当記者として大船渡・佐々木朗希投手を総移動距離2.5万キロにわたり密着。ご縁あってか2020年から千葉ロッテ担当に。2023年から埼玉西武担当。
日本の全ての景色を目にするのが夢。22年9月時点で全国市区町村到達率97.2%、ならびに同2度以上到達率48.2%で、たまに「るるぶ金子」と呼ばれたりも。