【監修:金子真仁】埼玉西武ライオンズ選手名鑑 ピタリ140文字〝卒業試験〟/前編

今年も日刊スポーツの「プロ野球選手名鑑」が紙、アプリの2種で発売されました。23年担当記者としての最後の任務で、ライオンズの選手の「ひとこと」を編集しました。ただ、スペースの都合上、本当に「ひとこと」しか書けない選手も。それならここで書きましょう。昨年も在籍した全選手に、Xと同じ140文字での「ひとこと」を。全3回でお届けします。

プロ野球

全員にファンがいる

全員を140文字で表現し終えて、自身に課した〝卒業試験〟の難しさを知った。「短くまとめよう」と思いながら気付くと200文字くらいにオーバーしまう選手もいる。そして、その逆の選手も。

子どもの頃、選手名鑑を買った。「走攻守3拍子揃った」という表現をたくさん見た。それでも打率が2割に届かなかったり、そもそも1軍に上がれなかったり。言葉は難しい。

全員を知るのも難しい。でも全員にファンがいる。その選手は、他の選手とどこが明らかに違うのか。何が個性なのか。そんなことをあらためて肝に銘じながら、140文字で揃えてみました。最後までお付き合いください。


12.渡辺勇太朗投手「先発8枚目くらい」から脱したい6年目。高橋光成を師匠格に鍛え上げた肉体は助っ人クラスの厚みに達し、「あと5キロ速く」の実現で世界がガラッと変わる。丁寧な人当たりで繊細な一面も。歯磨き粉は無添加もの。浦和学院に入学後は1カ月ほど脱走。今もチームメートの蛭間らに励まされて再開した。

13.高橋光成投手メジャー夢見るパワフル右腕も「出たいと思ったこと、ないですよ」と心はいつも郷里の群馬県沼田市に。祖父のリンゴ園で駆け回った少年は緑を愛し、愛用のグラブも、自身で立ち上げたブランドの差し色も緑。LINEアプリもスマホには入れない徹底した「ゆとり生活」で最高のパフォーマンスへ備える。

14.増田達至投手得点力不足の昨季は「1点リードを守り切る」厳しさに時に屈した。不動心が最大の武器で、救援の後輩平井も「人間の鑑っすよ。いい時も悪い時も、どんな結果にも左右されない強さを持っている人」と敬意を表する。試合前は43度の風呂に浸かるのが日課。高橋らも挑戦したことで増田が「熱湯長男」に。

15.与座海人投手毎年確かな「旬」があるサブマリン右腕。再びの2ケタ勝利する力量はある。沖縄尚学時代にたたき込まれた守備力も見ものの1つ。観察力や想像力に優れ、社会を見渡した「大人の言葉」を話せるチカラがあり、将来は名指導者になる予感も漂う。ペットボトル委員会(本田圭佑会長)の啓蒙ポスターを作成。

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1980年11月、神奈川県座間市出身。法大卒、2003年入社。
震災後の2012年に「自転車日本一周」企画に挑戦し、結局は東日本一周でゴール。ごく局地的ながら経済効果をもたらした。
2019年にアマ野球担当記者として大船渡・佐々木朗希投手を総移動距離2.5万キロにわたり密着。ご縁あってか2020年から千葉ロッテ担当に。2023年から埼玉西武担当。
日本の全ての景色を目にするのが夢。22年9月時点で全国市区町村到達率97.2%、ならびに同2度以上到達率48.2%で、たまに「るるぶ金子」と呼ばれたりも。