清原和博が甲子園を沸かせた時代 桑田の〝脅し?〟でホームランも
日刊スポーツは1946年(昭21)3月6日に第1号を発刊してから、これまで約2万8000号もの新聞を発行しています。昭和、平成、そして令和と、それぞれの時代を数多くの記事や写真、そして見出しで報じてきました。日刊スポーツプレミアムでは「日刊スポーツ28000号の旅 ~新聞78年分全部読んでみた~」と題し、日刊スポーツが報じてきた名場面を、ベテラン記者の解説とともにリバイバルします。懐かしい時代、できごとを振り返りながら、あらためてスポーツの素晴らしさやスターの魅力を見つけ出していきましょう。
今回は清原和博のPL学園時代を振り返ります。次男勝児が慶応高のメンバーとして甲子園優勝を果たし、史上初とみられる親子2代の快挙として注目されました。日刊スポーツの記事から、清原の高校時代を振り返ります。(※内容は当時の報道に基づいています。紙面は東京本社最終版)
その他野球
40年前も8月21日だった
「私は39年前の8月21日、土浦日大・小菅監督がいる取手二に敗れて悔しい思いをし、38年前の同じ日、宇部商に勝って優勝を決めました。そんな日に慶応が決勝進出を決めたことにも運命を感じます」
2023年8月21日、夏の甲子園大会で慶応が、土浦日大を破って決勝進出を決めると、清原和博氏(56)は大会本部を通じてコメントを発表した。
次男勝児が慶応に所属しており、清原氏は神奈川大会から甲子園決勝まで全12試合を現地で観戦した。私は、そのうち10試合を同氏の隣で観戦する縁に恵まれた。
高校野球を見ているうちに、自身の記憶がよみがえってきたのだろう。試合の合間、ポツリポツリと「初めて甲子園に行ったときは…」「あのとき桑田(真澄)は…」「内匠(政博)がな…」と、PL学園時代の出来事を口にしていた。
そして冒頭のコメントである。清原、桑田のKKコンビを擁したPL学園については、これまでも語り尽くされてきた。しかし、この機にもう1度振り返ってみたいと思い、当時の日刊スポーツを振り返ってみた。
おそらく破られないであろう甲子園通算13本塁打を放った清原和博を、KKコンビを一体どのように報じていたのだろうか。
1983年(昭58)の大阪大会を報じる記事を探すと、大院大高の2回戦、守口との3回戦、吹田との4回戦はスコアしか掲載されていない。
記事が初めて出るのは、泉州との5回戦を報じる7月26日付の紙面。「PL、泉州突破 爆発1年生トリオ」という見出しがついている。
PL学園が1年生トリオの活躍でセンバツ代表校、泉州を一しゅう、ベスト8にコマを進めた。
打線では1年生4番・清原のバットがさく裂だ。187センチ、87キロのジャンボな体から、初回の中前先制打に始まり、3回には大会2本目の左越え2ランを放つなど4打数3安打3打点をたたき出した。「いい感じで打てました。4番を打つのは気持ちがええです」と度胸の方も大物の素質十分。投げても田口と桑田の1年生リレーで泉州打線をかわした。
おそらく、これが清原、桑田が登場する最初の記事だと思われる。
KKコンビが1面に登場するのは横浜商を破った決勝戦を報じる8月22日付の紙面。つまり、40年前…1年生で初めて甲子園で優勝したのも「8月21日」だったというわけだ。
「PL 5年ぶり2度目 V旗」「1年生パワーで人文字『日本一』」といった見出しが踊る。この試合、清原は、甲子園で第1号となる先制ホームランを放ち、桑田は7回途中まで無失点の好投を演じた。
「本当にあの2人がこんなに働いてくれるとは…」と表彰式後、中村監督は本音をもらした。それもそうだろう。桑田が3月27日に入寮したときはゴキブリがこわくて逃げ回り、夜1人でトイレにさえ行けなかった坊やだった。清原も整列して名前を呼ばれると、顔を真っ赤にする少年だったのだ。
初々しい2人の様子が描かれている。また、同面には清原の母弘子さんのコメントも掲載されている。
「〝まさか〟の連続で優勝してしまったような感じです。甲子園に行ってからは神経性の下痢になったなんて聞いていたものですから心配していたんですけど、あんな晴れ舞台でホームランを打ってくれるなんて…夢のようですワ」
清原は今も、テレビ番組やYouTubeなどで1年夏の甲子園で「腹を下していた」というエピソードを披露するが、当時から母が証言していた。
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1969年(昭44)生まれ。横浜出身。
93年に入社し、プロ野球の横浜(現DeNA)、巨人、大リーグ、NPBなどを担当した。著書「松井秀喜 メジャーにかがやく55番」「イップスは治る!」「イップスの乗り越え方」(企画構成)。
日本イップス協会認定トレーナー、日本スポーツマンシップ協会認定コーチ、スポーツ医学検定2級。流通経大の「ジャーナリスト講座」で学生の指導もしている。
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