【群馬・沼田編】西武の高橋光成が大好きな「いなか」に 未舗装の先は…/連載〈5〉

旅が好きです。日本の全市区町村の97・2%を踏破済みです。その遍歴は取材を担当する西武関係者に興奮されたり、どん引きされたり。かけ算の世の中、野球×旅。お気楽に不定期で旅します。題して「野球と旅をこじつける」。第5回は西武高橋光成投手(26)の故郷、群馬県沼田市利根町へ向かいました。

プロ野球

▼「野球と旅をこじつける」▼

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西武高橋光成投手が生まれ育った群馬県沼田市利根町

西武高橋光成投手が生まれ育った群馬県沼田市利根町

V逸の翌日、上越新幹線で

9月13日朝。ライオンズファンならもしかしたら、どんな朝だったか察していただけるかもしれない。

前夜、西武鉄道の終電が迫るホームゲームでの延長12回の末、西武は敗れた。同時に2023年の優勝の可能性が消えた。

上越新幹線のシートに、どし~っと腰を下ろす。大宮から乗って、すぐ降りるのに何度か寝た。

ベルーナドーム最終戦を終えファンにあいさつする西武高橋光成(手前)ら=2023年9月27日

ベルーナドーム最終戦を終えファンにあいさつする西武高橋光成(手前)ら=2023年9月27日

プロ野球の球団担当記者としての最大の仕事は、優勝紙面を作ること。私はそう思って仕事をしている。例年なら5ページ以上に及ぶスペースを、いかに価値ある情報で埋めるか。

1年間の仕事は全て、そこから逆算してきた。

だから優勝がなくなるとガクッとする。こうやって日の目を見ることのない優勝記事(候補)が毎年毎年、いくつも生まれる。

ガクッとするけれど、いつまでも寝かせてくれない。目的地の上毛高原駅には50分で到着した。新幹線の駅なのに駅前は小ぶり。レンタカーを借りる。

上越新幹線の上毛高原駅

上越新幹線の上毛高原駅

「めちゃくちゃ山の方です」

きっかけはペナントレース開幕直前の3月28日。チームの必勝祈願を終えた帰り道、高橋光成と初めて1対1で話した。

旅人の端くれとして、彼の故郷である沼田市利根町には興味があった。地図を見ただけでも、なかなかの奥地だ。さらに北にある片品村には別ルートで行ったことがある。「関東地方の一番奥」というイメージが強いエリアだ。

沼田市利根町の小学校には高橋のパネルが

沼田市利根町の小学校には高橋のパネルが

「めちゃくちゃ山の方です。自分、小学校の同級生が8人しかいなくて。しかも全員男子。全校のみんなの顔、知ってます。めちゃくちゃいなかですよ」

とても行ってみたい。すごく行ってみたい。

「行ってくださいよ。うちのりんご園にもぜひ。楽しいですよ」

外崎修汰内野手(30)の実家がりんご園というのは西武担当になる前から知っていたが、まさかエースの実家もそうだとは。

いつ行こうかいつ行こうかと企てながら、シーズンはどんどん進み、いよいよ秋になってしまった。そして行こうと決めた前夜に、優勝が消えるなんて-。

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1980年11月、神奈川県座間市出身。法大卒、2003年入社。
震災後の2012年に「自転車日本一周」企画に挑戦し、結局は東日本一周でゴール。ごく局地的ながら経済効果をもたらした。
2019年にアマ野球担当記者として大船渡・佐々木朗希投手を総移動距離2.5万キロにわたり密着。ご縁あってか2020年から千葉ロッテ担当に。2023年から埼玉西武担当。
日本の全ての景色を目にするのが夢。22年9月時点で全国市区町村到達率97.2%、ならびに同2度以上到達率48.2%で、たまに「るるぶ金子」と呼ばれたりも。