【西武・斉藤誠人】栗山巧が「たくさん頑張った」と言った/さよならプロ野球〈15〉

引退―。プロ野球選手にとって不可避の岐路は、新たな人生への「入団」でもあります。オフ恒例の大河企画「さよならプロ野球」で、青年たちの希望の光を追います。2023年の第3弾は西武・斉藤誠人捕手(28)。

プロ野球

◆斉藤誠人(さいとう・まさと)1995年(平7)8月7日、北海道札幌市生まれ。札幌光星から北海道教育大岩見沢校を経て、18年育成ドラフト2位で西武入り。通算3試合出場。右投げ左打ち。少年時代、実家の冷蔵庫にはセイコーマートで買った牛乳が常時6本ストックされていた。

突然の電話

斉藤はプロ通算0打席で現役引退する。通算1打席には11メートル少々、足りなかった。

記憶も鮮明な今年7月28日、楽天モバイルパークでの楽天戦のこと。

休日で家族と出かけていた。前日、2軍首脳陣から「ちょっと3軍に行ってきて、若い子出したいから」と言われた。

「のんきに過ごしてました」ところに、1軍スタッフからの突然の電話。古市が体調不良になり捕手が足りない。3軍のはずが1軍に。「一目散で駆けつけました」。東北新幹線に飛び乗り、試合開始には間に合った。

7回からマスクをかぶり、最終回に打席が回る流れに。21年、22年と1試合ずつ守備についたのみの1軍経験。ついに来た。

「貪欲に、どんな形でもいいからヒットを。1の1で終わってもいいから、ヒットじゃなくてもなんとかいい当たりを」

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1980年11月、神奈川県座間市出身。法大卒、2003年入社。
震災後の2012年に「自転車日本一周」企画に挑戦し、結局は東日本一周でゴール。ごく局地的ながら経済効果をもたらした。
2019年にアマ野球担当記者として大船渡・佐々木朗希投手を総移動距離2.5万キロにわたり密着。ご縁あってか2020年から千葉ロッテ担当に。2023年から埼玉西武担当。
日本の全ての景色を目にするのが夢。22年9月時点で全国市区町村到達率97.2%、ならびに同2度以上到達率48.2%で、たまに「るるぶ金子」と呼ばれたりも。