【舞台裏】あの失策後、田中将大にかけられた言葉と、巨人門脇誠が乗り越えたもの

8月15日の阪神戦(東京ドーム)、二塁を守った巨人門脇誠内野手(24)は2回無死一、二塁の守備機会で覚悟を問われていました。「びびっていたら意味がない」。ゴロを捕球後、ギリギリのタイミングだった二塁へと投げ、アウトにしました。なぜ、迷わなかったのでしょうか。2日前の痛恨の失策に向き合う姿を描きます。

プロ野球

★新連載「The Backstage」

ドラマは注目シーンだけが、見どころではありません。目立たないところにも、さまざまなストーリーが詰まっています。舞台裏で、記者が見て、聞いて、思った話をお届けします。

◆門脇誠(かどわき・まこと)2001年(平13)1月24日、奈良市生まれ。創価高1年から創価大4年まで公式戦999イニングフルイニング出場。22年ドラフト4位で巨人入団。23年4月2日中日戦(東京ドーム)でプロ初出場。1年目で126試合に出場し、遊撃のレギュラーをつかむ。11月のアジアプロ野球チャンピオンシップで侍ジャパン入り。同大会MVP。昨季まで通算255試合、168安打、打率2割5分2厘、3本塁打、42打点、20盗塁。171センチ、76キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸4500万円。

2日後に同じ一、二塁…野選恐れず二塁送球

記者席から見ていた側はその打球に、「いきなりきた…」と思った。

二塁手として打球の行方に1歩目を踏み出していた当事者は「飛んできてくれた」と感じていた。

試合後に門脇が教えてくれた。

2回無死、一、二塁の場面だった。

阪神坂本の当たりが、二塁の定位置より一塁側に跳ねていった。

瞬間、2日前の光景がフラッシュバックした。

「すみません」しかなかった

巨人対中日 5回表中日1死一塁、山本の二ゴロを門脇が悪送球する(撮影・江口和貴)

巨人対中日 5回表中日1死一塁、山本の二ゴロを門脇が悪送球する(撮影・江口和貴)

悪送球の後しゃがみ込む門脇(左端)

悪送球の後しゃがみ込む門脇(左端)

8月13日の中日戦(東京ドーム)。日米通算199勝目をかけて先発マウンドに上がった田中将大は4回までスコアボードに「0」を並べ、打線も1回に丸佳浩の先頭打者本塁打に始まり、3点をリードしていた。

あと1回を抑えれば、勝利投手の権利が手に入る。200勝へ王手をかけられる。

迎えた5回、門脇の守備範囲にボールが飛んできた。

1死一塁。素早く左に移動して捕球し、併殺打を狙って二塁へと右腕を振った。

直後、東京ドームに驚きとドラゴンズファンの歓声が入り交じった。

ボールは二塁ベースを踏んだ遊撃の泉口友汰がジャンプしたグラブをかすめて、三塁ファウルゾーンを転々とした。

一気に一塁からランナーがホームイン。さらに連打が続いて同点とされた田中将は、5回で降板となった。

「ごめん」

5回を守り終えてベンチに戻る最中、門脇は田中にそう声をかけられた。

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2008年入社後にスポーツ部(野球以外を担当します)に配属されて17年。25年4月に初の異動で野球部へ配属となりました。競技経験はありませんが、現在は息子が通う少年野球チームで“球拾い”コーチとして奮闘中。記者としても、様々な話題を拾います。ツイッターは@KengoAbe_nikkan。二児の父です。クラフトビール好きです。