【舞台裏】「8回の男」巨人大勢を支えた「そういう気持ち」 節目で口にした仲間の名
今季、プロ4年目の巨人大勢投手(26)は最優秀中継ぎ投手賞を獲得しました。昨季までは抑えを務めていましたが、ライデル・マルティネス投手(28)の加入で新たにセットアッパーとして「8回」を託され、結果を残しました。
なぜ、つないでいけたのか。節目に語った仲間への思いにこそ、長いシーズンで腕を振り続けた理由がありました。
プロ野球
★「The Backstage」
ドラマは注目シーンだけが、見どころではありません。目立たないところにも、さまざまなストーリーが詰まっています。舞台裏で、記者が見て、聞いて、思った話をお届けします。
◆大勢(翁田大勢=おうた・たいせい)1999年(平11)6月29日、兵庫・多可町生まれ。西脇工では2年秋からエース。関西国際大4年秋に157キロを計測。21年ドラフト1位で巨人入団。22年開幕戦でプロ初登板初セーブを記録。同年37セーブで新人王。23年WBC、24年プレミア12で侍ジャパン入り。今季まで通算189試合、13勝9敗、81セーブ、60ホールド、防御率2・16。183センチ、90キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸9000万円。
マー200勝マルティネス最多セーブのため
9月30日、午後3時過ぎの東京ドームだった。
まだ観客はいない。
それから数時間後、その場所は田中将大の日米通算200勝を祝う場となる。
「田中さんも200勝かかってるんで。今はうれしいっていう気持ちがあんまりなくて」
マウンドの方へ目をやりながら、大勢が胸の内を明かしていた。
その2日前、28日のヤクルト戦(神宮)で今季45ホールド(H)目を刻み、球団では山口鉄也(現2軍投手チーフコーチ)が12年に記録した44Hを抜いて新記録となった。
勝利数(8勝)と合わせたホールドポイントを53に伸ばし、最優秀中継ぎ投手賞のタイトルも確定していた。
少し時間がたっての達成感や充実感を拾おうと声をかけた。
ただ、こちらの予想を覆し、返ってきた答えの矢印は己ではなく、仲間に向いていた。
上記の田中将への言及の前には、“ライバル”の名前も出していた。
「タイトルを取れたのは確定はしましたけど、残り2試合あって。やっぱライデルもまだタイトルかかってますし。そのためにはセーブシチュエーションでつなげないといけないですし」
ライデル・マルティネス。
今季中日から加入し、新たな守護神として9回に君臨したキューバ生まれの28歳。
この日から2日連続でセーブ数を積み上げて46とし、大勢が願った最多セーブ投手賞のタイトルを中日松山晋也と分け合うことになる。
「田中さんが一番そうですけど、プレッシャーを感じられてると思う。周りがすごく騒ぐので。僕も、なんて言うんすかね、今も自分のことより、そういう周りのことの方が気になってるので。それは(最優秀中継ぎ投手賞を)取れたからっていうのもあるかもしれないですけど。そういう気持ちが8回になっても、結果につながったのかなって」
マルティネスの加入によって、新人だった22年から続けてきた巨人の守護神の座を譲ることになったのが今季だった。
シーズンの結尾、包み隠さずに教えてくれた心境に、25年シーズンの歩みがにじむようだった。
「そういう気持ち」
大勢を動かし続けた源だった。
打たれたときこそ取材される立場
「慣れましたよ」
その言葉に恨み節は皆無だった。
5月中旬から6月初旬にかけて。
8回に同点の場面で登板するも勝ち越しの本塁打を打たれる場面や(8回裏に打線が逆転し勝利投手)、連打を浴びて3失点で負け投手、さらに同点の延長10回に2死満塁から死球で押し出しサヨナラを許すなど、劣勢の場面が続いた時期が続いた。
その都度、取材エリアで立ち止まり、登板の振り返りとチームへの申し訳なさと野手への感謝を述べていく。
いつも、背筋が伸びる。
悔恨の中の乱れる心に、記者の質問はどう響いているのだろうか。
その姿に、聞いたのは6月中旬。敗者の時にきちんと対応されますね―。
答えはシンプルだった。
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2008年入社後にスポーツ部(野球以外を担当します)に配属されて17年。25年4月に初の異動で野球部へ配属となりました。競技経験はありませんが、現在は息子が通う少年野球チームで“球拾い”コーチとして奮闘中。記者としても、様々な話題を拾います。ツイッターは@KengoAbe_nikkan。二児の父です。クラフトビール好きです。
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