【かなだいを支えた人たち〈2〉】村元恩師の浜田美栄コーチ「金メダルを渡せたら…」

フィギュアスケートのアイスダンスで日本勢最高タイとなる世界選手権11位と躍進した村元哉中(30)高橋大輔(37)組(関大KFSC)が5月1日、競技生活からの引退を表明しました。

一夜明けた2日には記者会見で思いを語り、今後はプロスケーターとなり「かなだい」としての活動も継続する意向を示しました。

日刊スポーツ・プレミアムでは「かなだいを支えた人たち」と題し、週に1度のペースで周囲の思いを取り上げています。

第2回は村元のシングル時代の師で、アイスダンス転向を後押しした浜田美栄コーチ(63)の言葉をお届けします。

フィギュア

21年全日本選手権。かなだい結成のきっかけとなった浜田、長光両コーチは、来日できなかったズエワコーチに代わってリンクサイドに立った

21年全日本選手権。かなだい結成のきっかけとなった浜田、長光両コーチは、来日できなかったズエワコーチに代わってリンクサイドに立った

「最後かも…」現地観戦、自然とあふれ出た涙

3月25日午後、さいたまスーパーアリーナ。

浜田コーチはスケート関係者と会場の通路で会話しながら、涙を流していた。

その少し前、村元、高橋組がフリーダンス(FD)「オペラ座の怪人」を演じきった。それを見て、さまざまな感情が交差し、自然と目頭が熱くなっていた。

「何も(進退を)聞いていないのに『もしかしたら、最後になるかも…』と思って現地で見させてもらいました。一瞬も目を離さず、素晴らしいFDの演技を見て、自然と涙があふれてきました。『見届けられて良かった』という気持ちになりました」

そう当時の感情を振り返り、一言を添えた。

「あの時『いいじゃない!』と、後押ししていたっていうのもありましたしね…」

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大学までラグビー部に所属。2013年10月に日刊スポーツ大阪本社へ入社。
プロ野球の阪神を2シーズン担当し、2015年11月から西日本の五輪競技やラグビーを担当。
2018年平昌冬季五輪(フィギュアスケートとショートトラック)、19年ラグビーW杯日本大会、21年東京五輪(マラソンなど札幌開催競技)を取材。
21年11月に東京本社へ異動し、フィギュアスケート、ラグビー、卓球などを担当。22年北京冬季五輪もフィギュアスケートやショートトラックを取材。
大学時代と変わらず身長は185センチ、体重は90キロ台後半を維持。体形は激変したが、体脂肪率は計らないスタンス。