【再建ワセダの箱根を追う〈4〉】出雲メンバー選考紋別合宿に密着 漏れた者の思いは

早稲田大学競走部。東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)で13回の総合優勝を誇る名門はいま、OBの名ランナー花田勝彦(52)を監督に迎え、伝統を更新し、学生駅伝での栄光に挑んでいる。2011年の「大学駅伝3冠」から長く離れる箱根駅伝での優勝への改革とは-。昨年度の闘いを追った「あえぐ名門」に続き、本年度は「-Rebuild-再建ワセダを追う」と題し、昨年度総合6位からのチームの進化を追う。第4回は出雲駅伝のエントリーメンバー10人が決まる北海道・紋別合宿に密着。メンバーを外れた宮岡凜太、須山向陽の2年生2人は何を感じ、次に向かうのか。チーム力の根幹を描く。

陸上

 
 
ロングインターバル練習が開始された。時計を押して、それぞれの戦いに駆けだしていく

ロングインターバル練習が開始された。時計を押して、それぞれの戦いに駆けだしていく

15人➡10人 北の大地での最終テスト

季節は真夏。名物の毛ガニの水揚げも終わりが近づく漁港近くの工場からは、甲殻類を加工する独特の匂いが鼻に届く。

北海道・紋別市。冬はオホーツク海の流氷が観光客を集める人口約2万人の街は、夏はランナーたちの鍛錬の場所となる。

海岸線からすぐに山がそびえ立ち、道は起伏に富む。アップダウンは駅伝シーズンの足作りの意味を持つ夏合宿には最適で、今年も箱根路を駆ける数校のランナーを集めていた。

9月8日は、花田体制になって2回目の紋別での集団生活の終わりを翌日に控え、実践を想定したロングインターバルのポイント練習が予定されていた。

気温は25度ほど。海岸線から数百メートルほど内陸に入った道路のスタート地点に、宿舎からそれぞれのペースでアップを兼ねて走ってきた選手が集まってくる。すでにうっすら汗がにじみ、日焼けしたその肌が太陽の光を反射する。

サングラス越しの表情は見えないが、たたえる雰囲気に緊張感がにじむ者、幾度も深呼吸をして視線を鋭くする者、一様にこれからの練習が特別なものだという雰囲気を伝えてくれる。

「直接は聞いてないですが、距離の設定で分かりますよね」

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スポーツ

阿部健吾Kengo Abe

2008年入社後にスポーツ部(野球以外を担当します)に配属されて15年目。異動ゼロは社内でも珍種です。
どっこい、多様な競技を取材してきた強みを生かし、選手のすごみを横断的に、“特種”な記事を書きたいと奮闘してます。
ツイッターは@KengoAbe_nikkan。二児の父です。