ソチ五輪「伝説のフリー」から10年 浅田真央さん単独インタビュー〈上編〉

プロフィギュアスケーターの浅田真央さん(33)が、2017年のプロ転向後3作目となるアイスショー「Everlasting33」を6月2日から16日まで立川ステージガーデンで公演します。〝世界初〟の劇場型アイスショーに臨む胸中を語ったロングインタビューを上下2回でお届けします。上編ではショーの開催を決めた理由と期待、高橋大輔さんとも共鳴する後進のスケーターたちへの思いを聞きました。

フィギュア

アイスショー「Everlasting33」の練習で情感あふれる演技を見せる浅田真央さん(撮影・宮地輝)

アイスショー「Everlasting33」の練習で情感あふれる演技を見せる浅田真央さん(撮影・宮地輝)

凝縮されたステージ

――今日はよろしくお願いします

はい、今日はありがとうございます。今日Tシャツができたんです(笑顔)。

――しっかり写真を撮らせていただきます。では、今日の通しを見せていただき、オープニングの群舞でぞわっとしました。最初に会場のリンクの広さにコーンで仕切ってある練習場の面積を見て「小さい」と思いました。ですが、見ていると、狭いことが演技の制約になってないなと感じました

通常はすごく大きいので、最初は大変でした。スケートの良さはやはりスピーディーにスケートでバーっと滑ることなので。まだちょっと「使いこなせてるのかな?」という部分はありますが、大丈夫の範囲まではきました。

「Everlasting33」の練習で情感あふれる演技を見せる浅田真央さん(中央左)ら

「Everlasting33」の練習で情感あふれる演技を見せる浅田真央さん(中央左)ら

――むしろ凝縮された感じを受けました。短い助走でトップスピードに入るなどももちろんすごい技術がいりますし、限られた中でやる。そこにより緩急を感じました

難しいです。振り付けもやっぱり狭いとどうしてもスケートの部分がなくなってしまったりするので。スピードを出すと壁に当たったりもするので。スケート技術は、普通のスケートリンクよりも必要だと思います。

――このスペースだから見せられることもあるのかなと

今回の会場は、思ったよりもコンパクトな会場です。通常のアイスショーだと1階席はお客さんとの段差もなく最前列の方が見えるんですけど、今回はステージ上に氷を張るので、スケーターの方が高い位置に来るんですね。その見え方が新しいなというのと、劇場型なので、今回2階席が結構近くに見えたり、3階席も上から近くに見えるので。そういった意味でもこれまでのスケートのアイスショーの見え方とは形も違いますね。

――最初にご覧になった時に「ここでやりたい」って思われたと聞きました

イメージがぱっと浮かびました。

――スペースが小さいと迫力に欠け、こぢんまりしてしまうのではと想像していましたが、そのような不安などはなかったですか

その時はなくて、ここでやるって、次のアイスショーはここでやるって思って。で、そのステージ上の大きさを常設のアイスリンクで置いてやってみたら「小さすぎる」「これじゃ全然滑れない」「どうしよう」と思って(笑顔)。

それでせり出しの部分を作ったり。だんだんと新しいものに生まれ変わったので。逆にスムーズにいったら新しいものは生み出せなかったと思うんですけど、いろんな難題があったので、その問題が全て新しいものを生み出してくれました。

――今日拝見して、マイナス要因に感じなかったです。逆にパワーも感じました

そうですね、密集感がすごくあるので、お客さんも見やすい劇場になってますし、スケーターがすごく近くにいたり。でも、これも見せ方なので、すごく試行錯誤してます。使い方によって全然変わるので。最初は大丈夫かなって思ったんですけど、だいぶ、ですね。まだまだ全然良くしていきます!

――公演まで2カ月あります。いつもより仕上がりが早くないですか

いえいえ。全部新しい曲で、いろんな新しいコラボレーションもあって、もう時間が足りないです。

――ソロナンバーはいかがですか

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スポーツ

阿部健吾Kengo Abe

2008年入社後にスポーツ部(野球以外を担当します)に配属されて15年目。異動ゼロは社内でも珍種です。
どっこい、多様な競技を取材してきた強みを生かし、選手のすごみを横断的に、“特種”な記事を書きたいと奮闘してます。
ツイッターは@KengoAbe_nikkan。二児の父です。