JKA中エリアに滋賀県警で警察官、滋賀刑務所で刑務官を務めた異色の経歴の持ち主がいる。富山競輪管理係長の高岡秀光さん(39)だ。堅実な公務員から競輪運営の道を選んだのは高校、大学、社会人とハンマー投げで活躍して「スポーツに携わる仕事をしたかったから」だそうだ。

高岡秀光さん(左)と野口裕史(19年9月21日撮影)
高岡秀光さん(左)と野口裕史(19年9月21日撮影)

ハンマー投げから競輪に進んだ野口裕史とは、彼が高校生のときからの知り合いという。「01年の南部記念陸上で会いました。自分は大学生だったから僅差でなんとか勝ったけど、その後、あっさり逆転されて、自分は全日本学生陸上の4位が最高だけど、彼は日本選手権チャンピオンですからね(苦笑)」

運命の再会は17年11月、富山F1の前検日。準決で野口がプロ初めての落車(滑入8着)をして救急搬送の付き添いをしたのが高岡さんだった。「病院で午後10時くらいまでハンマー投げの話で盛り上がりました」。それに刺激されたのか、高岡さんはハンマー投げを再開。今年は全日本マスターズ選手権で優勝した。

また、ハンマー投げがつなぐ不思議な縁もできた。大学卒業後、中京大大学院の鉄人・室伏重信研究室に入った高岡さんは、今でも同大学で練習する機会がある。そこで今年のインターハイを制した執行大地君(市尼崎3年)に出会い、ボランティアで指導するようになった。執行君は競技をやり切った後は競輪選手を目指すという。