G1完全優勝は1998年、一宮オールスターの山口幸二(現・本紙評論家)を最後に、以後は達成されていない。

 当時のメンバーで注目の的は、神山雄一郎&吉岡稔真の2強に、2段駆け態勢を取る地元の一丸安貴-馬渕紀明。山口は無傷で勝ち上がったにもかかわらず、馬渕の後ろに控えたことで評価は低めだった。

 ところが、一丸の番手から発進した馬渕は末を欠いて3着に終わり、これを差し切った山口が快勝。悲願のG1初タイトルを手にした。神山も吉岡も不発。吉岡の動きに乗った本田晴美が2着に突っ込み、2車単は5770円の高配当になった。

 あれから17年。同じオールスターの舞台で、山口と同県の竹内雄作が、同じく無傷で勝ち上がった。しかも伏兵級で、勝てばG1初制覇。ここまでかぶると、先輩に続いての偉業達成を予感せざるを得ない。

 もちろん、状態や展開面でもチャンスは十分ある。2場所前の四日市F1で完全V。前場所の岐阜G3は、2勝を挙げて決勝5着と見せ場をつくった。そして今シリーズ、逃げ切りで3連勝。出来に非の打ちどころはない。

 4分戦で強敵は多いが、迷わず先行策に出る選手は、他にいないだろう。後ろに2人を引き連れる桐山敬太郎が、番手飛び付きなどで展開を乱しそうな点も好材料だ。

 もつれると、後方からの巻き返しが利きそうに思える。ただ、コーナーが多くカントが浅い松戸バンクでは、意外に難しい。よほどタイミング良く仕掛けてスピードに乗らないと、大外を回っての豪快まくりという大技はハイリスクを伴う。

 流れは竹内にとって有利。今の出来なら、このメンバーでもそう簡単にまくらせまい。番手は仕事をきっちりこなす大塚だし、平常心で駆ければ栄光をつかめる。

 車券の対象にならない、と断言できる選手はいない。3連単で竹内のみを1着に固定し、(4)-(1)(2)(3)(5)(7)(8)(9)から3着は総流しの、合計49点だ。【藤代信也】