一難去ってまた一難。緊急事態宣言が明けたかと思えば、毎日ニュースでは「まん防」というどこか耳障りなワードが垂れ流されている。

競輪界もこの1年は新型コロナウイルスに振り回されっぱなしである。日々、感染対策に追われる関係団体や施行者はもちろんだが、選手の中にも予期せぬコロナ余波で苦しい立場に立たされている者がいる。

1月の開催中に競輪場で感染した、ある選手は、その後はしばらく戦線離脱を余儀なくされた。

不運はこれだけで終わらなかった。3月に1度は復帰を果たしたが、今度はウエートトレーニング中に足首を骨折してしまった。

早期復帰を目指してリハビリに励む
早期復帰を目指してリハビリに励む

競輪選手は、1期間(半年)に必ずクリアしなければいけない規定出走本数がある。S級選手の場合は、「25走」がノルマ。彼はこのままだと来年のA級陥落が決まってしまうため、残りの出走本数をクリアするために、骨折が完治しない状態でリハビリに励んでいる。

せめて、開催中に感染した選手には公傷制度などの適用があればと思うのだが、現行では「コロナ欠場」に対する明確な救済措置はない。誰を責めるわけにもいかないが、今は不運にもコロナに感染してしまえば、デメリットしかないのが現状である。

今後のビッグレースは、5月日本選手権(京王閣)、6月高松宮記念杯(岸和田)と、都市部での開催が控えている。厳しい状況下でも施行者は開催に向けて最善の努力をしている。その苦労が無駄にならないよう、いま一度、個々が自分の行動に責任を持たないといけないと思う。

私は決してこんな真面目な正論を吐く人間ではなかった。これもコロナがおかしくしたのかもしれない。【松井律】