競輪、楽しんでいますか?
リニューアル岸和田で行われた高松宮記念杯は、デビュー丸15年、初のG1決勝進出だった宿口陽一(埼玉)が“一発ツモ”で快勝した。「信じられない。夢みたい」と振り返ったことからも、レース前は「優勝」など頭になかったのだろう。無欲の勝利とはまさにこのこと。本当におめでとう!
多くのカメラマンに囲まれるニューヒーローに熱視線を送る3人の若武者がいた。同県の黒沢征治、森田優弥、そして同じ関東の坂井洋(栃木)だ。特に、黒沢と森田は一緒にバンクで汗を流すことも多く、感激を通り越した恍惚(こうこつ)の表情。何度も「すげぇ」とつぶやいていたのが印象的だった。
胸中を察するに「いつも一緒にいて面倒を見てくれる身近なお兄ちゃんが、突然すごい選手になってしまった…」といったところか。関東の若手にとって、とてつもない刺激になったことは間違いない。宿口選手、いい仕事したね。
「アフロマン」こと山崎賢人も久々に存在感を見せた。決勝は4着だったが、単騎で2角からまくり切る好内容。ナショナルチームで着実に力を付けていることが伝わってくるシリーズだった。「もう少し勝負できたかな。組み立てを勉強したい」と悔しそうだったが、それでも笑顔になってしまうところが実にいい。ゆるキャラ的風貌(失礼)に好感が持て、これからも応援したい選手だ(写真は前日に撮ったもの)。
最後に、同じくナショナルの深谷知広が口にした、最終日逃げ切り勝ち後のコメントを紹介したい。
「明日(21日)、(ナショナルの)合宿で沖縄に行きます。(東京五輪)代表の2人(新田祐大、脇本雄太)の刺激になれるように頑張りたい。自分が2人を押し上げる大事な役割だと思っています」
格好いい。【栗田文人】