【大上悟・狙い打ち】

 GP覇者武田豊樹がシリーズ初の自力戦を打つ。「総力戦。勝つためには何でもやる」と決勝進出&6年ぶり2度目のダービー王への強い意志を示した。初戦の特選は池田勇人、GR(ゴールデンレーサー)賞は平原康多に前を任せた。「準決から自力の番組と予想していた。心も体も準備はできている」。王者の言葉はどこまでも確信的だ。

 GR賞で集中力を高めるスイッチが入った。打鐘から仕掛けた川村晃司の3番手を追走した平原の内で浅井康太が粘ったが、1度で決めると予測した分だけ対応が遅れる「判断ミス」。最終1センターすぎでは大塚健一郎のブロックに遭った。新田祐大のまくりには「反応が遅れた。まだまだ甘い」。準決へフリーパスだったが準決、決勝を想定して相手の仕上がり、自らの状態をすり合わせた。武田の強さは脚力だけではない。緻密な計算と戦術が支えている。

 準決は細切れ戦の中、ライン3車の優位性に加え、最も警戒するスピード上位の中川誠一郎を撃破するシナリオができあがった。GR賞で逃げて「かなり調子がいい」と警戒感をあらわにさせた川村は筒井裕哉の番手。むしろ、川村の自力戦の方が怖い。初のG1決勝へ積極策しかない原田研太朗が2車で奮闘する。筒井と原田が動けば動くほど、中川の仕掛けるタイミングがずれる。武田は追い込み型も舌を巻くシビアな位置取りから、まくる。白の1番車が、黒の2番車中川を撃破して、シリーズタイトルの「白黒つけてやる」だ。3連単は(1)=(5)、(1)(2)から総流し。