初代S級S班戦士の遠沢健二(58=神奈川)が、競輪史に新たな1ページを刻むことになった。

今期からA級3班のチャレンジとなったことで、SSからB級まで、競輪界のすべてのランクで出場した、現時点で唯一の選手となる。競輪場に到着すると「初めて? やったね。記録作っちゃった」とおどけたものの、すぐに表情を戻し「その分、精神的にはきついよね」と、真剣なまなざしで語り始めた。

「昨日(2日)の夜から緊張してきたし、朝起きてから落ち着きがないのが、自分でもわかる。正直、引退も考えたよ。その方が楽だし、小さいけどプライドもあるもん。でも、今期は失格で落ちたのが悔しくてね。力がなくて落ちるのは仕方ないけど…、苦しいし、厳しいのも分かっている。だから、見ていてよ。今年の12月くらいにどんな表情になっているか。ほおがこけて目の下にくまができているのか、それとも頑張っているか、ね」

時折冗談も挟みつつ、今期出場への覚悟を語った大ベテラン。チャレンジ予選2Rでは、30歳下の同県の後輩池辺聖に任せる。「競輪を教える? 教えたくても、今は7車だからねえ」。遠沢の新たな挑戦が始まる。