新田祐大(31=福島)が豪快まくりで大会連覇を達成し、通算4個目のG1(4日制以上)タイトルをつかんだ。前団がもつれた大混戦を桁違いのスピードで一蹴し、4年前の岸和田で優勝した成田和也とのワンツー決着を果たした。3着には関東勢の内をすくった山田英明が入り、人気の平原康多はさばかれて6着に沈んだ。

 こん身のまくりがさく裂した。逃げる関東勢に外から近畿勢、内から九州勢が襲いかかる。新田はもつれた前団をあざ笑うかのように、上がりタイム11秒0のハイスピードまくりでのみ込んだ。ゴール後、2着の成田が「おめでとう」と右手を差し出した。「今日は優勝することを心に置いていたが、それよりも成田さんとワンツーを決めたかった」。新田は左手でがっしりと固い握手をかわした。これ以上ない歓喜の瞬間だった。

 S級S班としての新田は、今回と同じ岸和田が舞台だった13年の宮記念杯決勝で誕生したと言っていい。成田、伏見俊昭を連れて逃げ、成田を優勝に導いた一戦が出発点になった。「成田さんの優勝がうれしかったし、あれだけ頑張れて力が付いたという自信。そして僕もタイトルを取りたいと思ったことが後のダービー、オールスターVにつながった。宮記念杯は僕の中で特別な思いがある」と、熱い思いを吐露した。

 東京五輪出場を公言しているが、今年前半は競技との両立に苦慮した。昨年11月からナショナルチームヘッドコーチにブノワ・ベトゥ氏が就任。「一流を育てるコーチ」と信頼を寄せる一方で、本業に影響するほどのハードトレーニングにくらいついてきたからだ。今日19日にも渡米して競技に参加するなど、今後も両立への挑戦が続く。それでも世界と、輪界のトップを狙い続けることに迷いはない。「前半戦は結果よしという感じだった。この宮記念杯をきっかけにまたG1を狙えるように」。17年岸和田の宮記念杯決勝。新田のベストレースに、新たに加わった。【山本幸史】

 ◆新田祐大(にった・ゆうだい)1986年(昭61)1月25日、福島県会津若松市生まれ。白河高卒。競輪学校90期生として05年7月函館でデビュー。単発G1の10年立川SSカップみのりで優勝。15年京王閣日本選手権で4日制以上のG1を初制覇し、G1優勝は通算4回。通算824戦279勝、通算獲得賞金7億1895万9437円(18日現在)。12年ロンドン五輪ではチームスプリント8位。173センチ、87キロ。血液型O。