【ヤマコウの時は来た!】

 ローズカップは、吉田敏洋を連れて浅井康太が先行した。名古屋の高松宮記念杯決勝があり、平塚G3、川崎サマーナイトからの流れがあっての敏洋の1着だった。今の敏洋は収穫の時期であり、初のGPに向けて弾みも付いただろう。

 同じく収穫の時期なのが、準決12Rの山田久徳だ。15年防府共同通信社杯で決勝に進出。当時は先行勝負に徹しており、稲垣裕之を引っ張り9着。このまま一流の仲間入りかと思われたが、競輪はそんなに甘くない。その後、F1の準決が壁となっていたが、今年夏あたりから、自在選手として磨きがかかってきた。

 久徳のいいところは、物おじしないところだと思う。私と年齢が離れていても、会話の中に全く距離感を感じない。だから、危なっかしいところがあるにせよ、堂々とレースに挑んでいる。まくりを狙うだけ、という自在選手とは一線を画し、過去のイメージのまま今を戦っている。

 稲垣を連れた2予Bでは4番手に入りながら打鐘過ぎに仕掛けた。行けないとみるや3番手を決め、さらにインをしゃくって岡村潤をさばき、すかさず番手まくり。結果的に稲垣とワンツーを決めた。決して展開待ちのレースはしていない。

 この準決12Rは、竹内雄作-浅井が本線だと思う。そこに、吉田拓矢が果敢に仕掛けるはずだ。久徳は、青森G3決勝で中団を古性優作と取り合ったように大阪勢に遠慮はしない。冷静に立ち回ってG1初決勝を狙う。

(日刊スポーツ評論家・山口幸二)