【松井律・競輪黙示録スペシャル】

◆12Rローズカップ

山田の視界にKEIRINグランプリ(GP)初出場が、はっきり入ってきた。

一昨年は出場権争いに加わったが、12位止まり。「今度こそ!」と挑んだ昨年は、高い壁にはね返されて44位に後退。「本当に昨年は何をやっとるのか分からん1年でした」。

全てを見つめ直して臨んだ今年は、2月G1全日本選抜で表彰台(決勝3着)に上がり、以降はベスト9圏内をキープしている。

さらに9月G2共同通信社杯で千載一遇のVチャンスが巡ってきた。ここで勝てば、GP出場はほぼ確実になる。目標の山崎賢人は玉砕覚悟で駆けてくれたが、山田の新田へのブロックが後続の落車を誘発してしまい、無念の失格。

どうしても結果を割り切れない自分がいた。そんなとき、あこがれの先輩が発したひと言が救ってくれた。「共同通信社杯後の地区プロは、みんな僕に声を掛けづらい雰囲気でした。でも、井上昌己さんが『ヒデ、しびれたよ』と言ってくれたんです。胸が熱くなりましたね」。シンプルな言葉がダイレクトに琴線に触れた。もうやるしかない!

ローズCは上位陣との賞金差を詰めるチャンスだ。「派手な選手ではない僕が、みんなにできないことをやるとすれば、それは赤パン(S班のレーサーパンツ)をはくこと。ここは賞金100万円を取りにいきます」。単騎になった脇本は、無理に駆けづらい。郡司、新田、清水の仕掛けるタイミングがかぶれば、必ず前団はもつれる。最後に山田がまくりで混戦を断つ。(4)-(1)(3)(2)(5)-全。