古性優作(32=大阪)が中団まくりで圧勝した。神山雄一郎(97年)以来、6人目の年間G13冠を完全Vで達成。年間獲得賞金は2億円を突破した。

寛仁親王牌での完全Vは96年神山雄一郎以来、27年ぶり史上2人目。2着は佐藤慎太郎、3着は渡部幸訓。初タイトルを狙った犬伏湧也は8着に沈んだ。


寛仁親王牌で優勝し、ガッツポーズする古性優作(撮影・柴田隆二)
寛仁親王牌で優勝し、ガッツポーズする古性優作(撮影・柴田隆二)

寛仁親王牌の決勝ゴールを駆け抜ける、1着・古性優作(3)、2着・佐藤慎太郎(1)、3着・渡部幸訓(5)(撮影・柴田隆二)
寛仁親王牌の決勝ゴールを駆け抜ける、1着・古性優作(3)、2着・佐藤慎太郎(1)、3着・渡部幸訓(5)(撮影・柴田隆二)

完全無欠の絶対王者・古性優作が、史上6人目となる年間3冠を完全Vで達成した。


競輪学校(現競輪選手養成所)時代、滝沢正光校長からかけられた言葉がある。

「ダブルグランドスラムを狙ってみろ」

プロにもなっていない候補生へ、普通ならばかげた冗談に聞こえるだろう。でも、古性は違った。


「高過ぎるぐらいの目標設定の方が、まあまあのところまでいける。こうなったら、狙えるものは狙いたい」。史上初の年間4冠、史上最高年間賞金額の更新、そして、ダブルグランドスラムという異次元の目標へ。今回の優勝は、ただの通過点だ。


寛仁親王牌で優勝し、ガッツポーズする古性優作(撮影・柴田隆二)
寛仁親王牌で優勝し、ガッツポーズする古性優作(撮影・柴田隆二)

決勝は7人が初G1を狙っていた。苦労人の小松崎大地、地元の諸橋愛、そしてニュースターの犬伏湧也も、大チャンスと思ったはず。しかし、古性には確かな自信があった。「決勝が4日間で圧倒的に一番の状態だった。周回中からいけると思っていた」。


色気が出た犬伏の仕掛けが遅く、レースは想定外な流れになった。「レースは生き物。瞬時の判断が求められる」。慌てず騒がず、仕掛けるタイミングをじっと待った。“ここ”と判断したところで踏み込むと、残りの8人は、両手でガッツポーズをする王者の背中を見送るしかなかった。


寛仁親王牌で優勝し、ウイニングランでガッツポーズする古性優作(撮影・柴田隆二)
寛仁親王牌で優勝し、ウイニングランでガッツポーズする古性優作(撮影・柴田隆二)

表彰式で寛仁親王牌を掲げる古性優作(中央)と、決勝2着の佐藤慎太郎(左)、同3着の渡部幸訓(撮影・柴田隆二)
表彰式で寛仁親王牌を掲げる古性優作(中央)と、決勝2着の佐藤慎太郎(左)、同3着の渡部幸訓(撮影・柴田隆二)

これで獲得賞金は2億円を超えた。KEIRINグランプリ(GP)を待たずに突破したのは2人目。「満足したらそこで終わり。この気持ちがあるからまた戦える」。努力を怠らない天才は、誰も見たことのない頂にまた1歩近づいた。【松井律】


 
 

◆古性優作(こしょう・ゆうさく)1991年(平3)2月22日、大阪市生まれ。清風高卒。11年7月、競輪学校(現養成所)100期生として岸和田でプロデビュー(予選1、準決1、決勝1)。21年8月いわき平オールスターでG1初優勝を飾ると、今回の寛仁親王牌までG1制覇6回。21年12月静岡KEIRINグランプリ優勝。通算成績は1009戦312勝。総獲得賞金は8億7975万8500円。168センチ、77キロ、血液型O。


寛仁親王牌で優勝し、左手を突き上げる古性優作(撮影・柴田隆二)
寛仁親王牌で優勝し、左手を突き上げる古性優作(撮影・柴田隆二)

◆G1年間3冠 古性優作が全日本選抜、高松宮記念杯に次いで、史上6人目となる年間3度目のG1制覇を果たした。これまでの達成者は、山本清治(大阪)高原永伍(神奈川)平間誠記(宮城)滝沢正光(千葉)神山雄一郎(栃木)の5人で、神山は95、97年の2度。