台風の影響で天候が不安定な中、1R1番車を務めた松井宏佑が見事プレッシャーに打ち勝った。10Rの宮本隼輔は残念だったが、負け戦でもしっかり勝つことは、これから絶対役に立つ。巻き返しに期待したい。そしてファン投票1位の脇本雄太も、きっちり期待に応えた。深谷知広とのもがき合いは迫力十分だった。

先行にはこだわらず自力宣言の奥井迪(撮影・森本幸一)
先行にはこだわらず自力宣言の奥井迪(撮影・森本幸一)

◆9R・アルテミス賞 ここに乗って喜んでいる選手がいれば、悔しい思いで走る選手もいる。奥井迪は間違いなく後者だろう。別府ガールズケイリンフェスティバルで「先行へのこだわりは捨てた。ドリームレースに乗れなかったということは、ファンの支持を得られなかったということ」と話していた。なぜだか分からないがショックだった。それくらい奥井の先行は、私もそうだが、ファンの心にも刺さるものだったと思う。先行を捨てたわけではないが、勝てる戦法にシフトしていくという。

彼女のレースで勇気をもらった人は、たくさんいると思う。それを彼女が知っているのかどうかは分からないが「自分でも葛藤はある。特に先行するタイミングを逃した時などは、これでいいのかと思う。でも、みんなが勝ちたいと思うレースの時は、気後れすることなく戦いたい」と言い切った。

先行寄りの自力選手は石井貴子と佐藤水菜となる。その中で、逃げて1着を目指すのか、まくる位置を求めて戦うのか、注目したい。(日刊スポーツ評論家)

アルテミス賞に出場する(左から)荒川ひかり、佐藤水菜、長沢彩、小林莉子、奥井迪、石井貴子、梶田舞(撮影・森本幸一)
アルテミス賞に出場する(左から)荒川ひかり、佐藤水菜、長沢彩、小林莉子、奥井迪、石井貴子、梶田舞(撮影・森本幸一)