初日は平原康多の番手、武藤龍生を取り上げる。武藤の課題は層の厚い関東勢の中で、どう自分の存在感を出していくかだ。3年前の玉野G3の中継で、武藤を取り上げたことがある。展開が彼に向きそうで名前を挙げたのだが、その後、うれしそうに「ありがとうございました」と丁寧にあいさつまでしてくれた。

ヤマコウは、11Rの武藤龍生に展開が向くと期待した
ヤマコウは、11Rの武藤龍生に展開が向くと期待した

そんなことを言ってくれる選手はあまりいないので私は驚いた。それ以来、気にして見るようにしているが、目標がない時のレースでも、存在感が出てきたことが大きい。どこにいるか分からないまま終わるのが一番駄目なレース。駄目でも記憶に残るレースをしなければ、関東の中で位置はできない。

先日の西武園G3の3日目、先行する高木翔の番手を競りにいき、競り勝って1着を取った。レース後、ガッツポーズが出たのは「地元の応援団の応援がすごかったから」というが、思わず手が上がるのは、それだけ地元G3にかける意気込みが大きいからだ。父親(嘉伸・59期)には「『悔いの残らないレースを』とだけ言われている」そうだ。武藤さんらしいひと言だと思った。

「西武園G3の2日目に、平原さんの番手回りを生かすことができなかった。今度こそしっかり決めたい」と意気込む武藤に展開が向きそうだ。ビッグレースで1着を取ることは自信にもつながるだろう。先行で勝負できる小松崎大地が単騎になったことで、平原が戦いやすくなった。早めの巻き返しとなれば武藤がとらえるとみた。(日刊スポーツ評論家)