ヤマコウ(山口幸二氏=日刊スポーツ評論家)はメインの特選12Rから地元の柴崎淳をピックアップした。持ち前のスピードに加え、位置取りの面でも進境著しい柴崎が浅井康太のアシストで押し切るとにらんだ。

初日特選でヤマコウが期待する柴崎淳
初日特選でヤマコウが期待する柴崎淳

先日行われた防府G3は地元・清水裕友の大会連覇で幕を閉じた。清水が1着でゴールした瞬間、地響きのような歓声が起こった。私も鳥肌が立った。苦しい展開でも最後に勝つ。まるで村上義弘のレースを見ているようだった。競輪界には「地元3割増し」と言う言葉がある。その根拠は何か説明できないが、超一流が地元G3を何回も優勝しているのは事実である。

柴崎淳は08、09年と当所G3を連覇してこのまま中部の一翼を担うと思ったが、低迷期が長かった。近況の得点は118点を超え、持ち前のトップスピードの高さに加え、位置取りも意欲的に取り組んでいる。今の競輪は、誘導のペースが上がり、車番が非常に重要になっている。その中で内枠を有利に活用することは大事なことだ。熊本G3の決勝で、淳は先行する中本匠栄-中川誠一郎の3番手を取った。そこからは中川をあてにし過ぎて8着に沈んだが、根拠のある最終ホーム3番手だった。

淳は褒められると伸びるタイプらしく、自分のことを「スターと呼べ」とうるさい。私なら恥ずかしくなるが、「僕は昔から言われているので全く恥ずかしくない」と言う。イケメンのまま生まれた淳のことを、たたき上げの私には一生理解できないだろう。

初日特選は1番車に浅井が入ったことで、好きに初手の位置が選べる。先行にこだわるタイプがいないので前受けでも勝負できる。「昔ほど気負わなくなった」という淳に注目したい。(日刊スポーツ評論家)