先日の久留米G3(熊本代替)は、嘉永泰斗の優勝で幕を閉じた。

熊本競輪場の再開が24年に決まり、熊本所属の選手たちも気合が入ったことだろう。何より113期の嘉永が優勝したことで、新時代の熊本競輪を見る思いがした。これからの競輪を支えるのは若い選手たちだ。ベテランの活躍もいいが、若手が主軸でないと活気も出ないし未来もない。若手がもっともっと席巻してほしい。

ヤマコウは、G1覇者宿口陽一が暮れのGPを見据えた戦い方ができるかに注目している
ヤマコウは、G1覇者宿口陽一が暮れのGPを見据えた戦い方ができるかに注目している

前橋G3ナイターは、G1寛仁親王牌を控えているため主力クラスはいない…と思っていたが、今年の静岡グランプリ(GP)を控える宿口陽一がいた! 6月のG1高松宮記念杯を制してから派手な活躍はないが、レース内容は強さを感じるものが多い。課題だったヨコのさばきも器用にこなすようになり、大敗しなくなった。次の課題はレースの組み立てだ。

2場所前の松阪G3決勝は、宿口の後ろは公私ともに世話になっている平原康多だった。自力の相手は郡司浩平、清水裕友、浅井康太。宿口は前受けから勝負した。郡司や清水を動かして、最後にカマシ先行と思ったのだろう。結果は郡司に突っ張られて先行できなかった(優勝は浅井)。格下の自力選手ならともかく、格上の自力相手に前受けでは通用しなかったということだ。平原を連れて自分も3着までに入れたら、G1の準決で十分通用する。同じ9着なら、中団も視野に入れた後ろ攻めの方が今後につながったと思う。

宿口に限らず格上の選手が番手だった場合、先行して3着に残れるようになればG1決勝も見える。ただ発進するだけなら、いずれ根負けして先行が嫌になる。今節の宿口はプレGPのつもりで取り組んでほしい。(日刊スポーツ評論家)