番手まくりのレースが多くなって、大味なレースが増えた。選手の役割も昔のように先行、追い込みとはっきりせず、競走得点で番手、3番手を決めることが多い。追い込みならではの細かいテクニックが失われようとしており、タテに踏むことが点数を上げる早道となった。

ヤマコウは深谷知広が、今度こそ脇本雄太にひと泡吹かせると期待した
ヤマコウは深谷知広が、今度こそ脇本雄太にひと泡吹かせると期待した

ベテランの自力選手に若手の自力を用意する番組も多くなり、勝ち上がるにつれ、先導役が出て番手まくり。こうしてベテランが多い決勝になる。「推理しやすいからいいではないか」というファンもいるだろうが、私はOBとして、それでは競輪はつまらなくなるばかりだと危惧している。どの地区が強いかなんて全く興味がない。あるのはどの選手が強く、お金を賭ける価値があるかどうかだ。

1予2・9Rの深谷知広は、初日ドリームレース(DR)とは別人だった。宮本隼輔が深谷の位置取りの甘さを突いて4番手を取りにきた。しかし、とっさの判断で引いて鐘前カマシで逃げ切り。見事なレースだった。豊富な資質に厳しいトレーニングを積まなければ、あんなレースはできない。DRで完敗した脇本雄太に、今度こそひと泡吹かせてほしい。(日刊スポーツ評論家)