1年半ぶりの岐阜の場内イベントステージは、久しぶりに会う面々がいて懐かしかった。岐阜のファンもG1を待っていたかと思うとうれしくなった。

ただ、岐阜勢は、川口公太朗が落車欠場となって山口拳矢1人。初日特選を見る限り多くは望めないが、見せ場だけは作ってほしい。


ヤマコウは骨折後でも強気なさばきを見せた真杉匠に期待
ヤマコウは骨折後でも強気なさばきを見せた真杉匠に期待

初日に印象に残ったのは真杉匠だった。鎖骨、右足小指骨折後の初戦で、どれだけやれるか注目していたが、私が思う以上のレース内容だった。

枠が悪いので後攻めは仕方ないものの、前に出てからペースを落とさなかったのは、先行して体調を確かめようとしたのだろう。シッティングのまま犬伏湧也を合わせるダッシュは、骨折後を感じさせなかった。

結果的にたたかれたものの、今度は古性優作をさばこうとする。今の古性に当たれる選手はそんなにいない。1センターで真杉が半車身前にいた。古性はそこで当たられるのが一番嫌だったはず。

自信がない選手は、当たった後の返しが怖いので前に踏む。前に踏むと外が伸びるので内は負ける。今回は真杉が当たったので古性は伸びなかった。

そして真杉は、3角でも当たって古性を退けた。骨折後は荒々しいレースをしたくないはずだが、真杉は違った。そこがすごい。「鎖骨が動かないので自転車の進みはさほど良くない」と言うが、レース内容は素晴らしかった。

2予10Rは車番がいい上に、福永大智は前受けが多いので主導権を取りやすい。番手の佐藤慎太郎もブロックにたけている。真杉が本格的に始動できる環境は整った。(日刊スポーツ評論家)