奈良G3が始まる。初日特選の近畿勢は、古性優作と脇本雄太が別れて走る。位置取り確かな古性が有利に運ぶだろう。

先日、日刊三賞の表彰式で古性や松浦悠士と会食した。2人とも、競走中には見られない穏やかな表情が印象的だった。

松浦は日刊三賞の翌日が高松G3の前検日。疲れが心配だったが、準優勝でレースを終えた。「まだまだ本調子ではない」と言うものの、レースの気配は全く悪くなかった。多忙を言い訳にしない一流の走りだったと言える。

松浦と違い、少し余裕ある日程で参加できたのが古性だ。2月は暦が短い上に、昨年活躍した選手は表彰式が重なり、スケジュールはタイトだ。今は2月にG1全日本選抜があるので、さらに大変だと思う。


ヤマコウはレース運びのうまさで古性優作に注目
ヤマコウはレース運びのうまさで古性優作に注目

その全日本選抜の初日、8着ながらも古性のすごみを感じた。レースは先行する真杉匠を6番手から犬伏湧也がカマした。犬伏ラインを追う形で古性がホームから仕掛ける。しかし、車間が空いて2角で真杉に当たられた。それでも前に踏み、3角でもう1度当たられた。普通なら9着になるパターンだが、そこからの古性がすごかった。

真杉の後輪ギリギリでインに切り込み、真杉に先着したのだ。位置取りで勝ったはずの真杉が9着。勝負を最後まで諦めないところも王者だった。

新山響平も脇本も、レースに変化を持たせようと取り組んでいる。しかし、古性がいることでそれは通用しない。王者はいつもリングの中央でレースを進める。(日刊スポーツ評論家)