さすが、今やん! 今村豊(55=山口)がインからコンマ11のトップスタートを放ち、逃げ快勝。1番人気にきっちりと応えて、マスターズ史上最多となる3度目の優勝を決めた。通算G1Vは48回目。2着には野長瀬正孝、3着には三角哲男が入った。

 今村豊が史上初の3度目のマスターズ戴冠を決めた。やや中へこみのスリット隊形ではあったが、まさに慌てず騒がず。「三角(哲男)君が4カドから攻めてくるのも想定の範囲内。とにかく、スタートだけに集中していきました」。インからコンマ11のトップスタート。「起こした瞬間にかぶって、ドン。完全な今村スタート」を決めると、1Mへと一目散。一瞬、三角の姿が見えたが先に回ると、あとはみるみる独走態勢を築き、ゴール後にはガッツポーズも飛び出した。

 序盤こそペラ調整に一抹の不安を覚えたが2日目に調整を完全に手の内に入れた。「エンジンは十分に仕上がってくれたと思う。最終日も試運転した時に変わっていなかったし、このエンジンを信じました」と自信は揺るがなかった。

 優勝は昨年5月、徳山以来。「実はオールスター(16年5月尼崎)の時に、右足を骨折しました。それをかばう乗艇姿勢になってしまい、悪い状態で走っていました。今も痛いときはあるけど、普通には走れます」と衝撃の事実を明かした。

 マスターズは次回から45歳以上の選手が対象と出場基準が変更になる。「メンバーも随分変わって厳しくなるとは思う。浅田真央ちゃんじゃないけど、『もういいでしょう』かな」と語った。

 5月の宮島周年からは記念、SGロードが続く。「正直、目標はない。でも目の前のレースを真剣に走っていきたい。勝負だから勝ちたいし結果がついてくれば、これにこしたことはない」。レジェンドは今後も1走1走に全力を尽くす。【工藤浩伸】

 ◆今村豊(いまむら・ゆたか)1961年(昭36)6月22日、山口県生まれ。48期生として81年5月徳山でデビューしていきなり優勝戦に進出。82年4月の蒲郡で初優勝。SG通算優勝は7回、G1は48回。マスターズは一昨年児島の完全V以来で、史上初の3回目の優勝。162センチ、51キロ。血液型A。