これが、世界と戦う豪脚だ! 新田祐大(32=福島)が、豪快なまくりで4日制G1通算6度目の優勝を飾った。これで現在ある6つのG1制覇となるグランドスラムへは寛仁親王牌を残すのみとなった。2着は番手まくりで抵抗した村上義弘、3着に村上博幸が続いた。

 新田が豪脚でねじ伏せた。最終2角過ぎで番手まくりに出た村上義に、吉沢純平マークから平原康多が自力に転じて襲いかかり、前団が並走状態に。このときを待っていた。「自分が想像していた展開。あとは出し惜しみせずに行けるところから行く」。イエローライン付近を走る距離ロスもものともせず、終わってみれば2着以下を1車身突き放した。右拳を突き上げた先に、世界が見えていた。

 東京五輪でのメダルを目指し、ナショナルチームのブノワヘッドコーチの下、1月7日から30日までは米国フロリダで強化合宿。「今まで感じたことのない強度の練習」というハードトレは昨年以上の脚力をもたらした。「すごく、充実しています」と、思わず笑ってしまうほどの成長を実感。それでも「五輪となると今の力では通用しない。しっかりトレーニングの期間を取らないといけない」と表情を引き締める。今月28日からはオランダでの世界選手権が控える。「次は世界の舞台で活躍できるように」。見据える先はまだ先にある。

 一方、グランドスラム達成の夢もふくらむ。残すは競技で活躍する選手にゆかりのあるG1寛仁親王牌。今後は競輪の出場機会が減るが、「1戦ごと、しっかり戦うことをいつも考えている」と一戦必勝を誓う。今秋での偉業達成が現実味を帯びてきた。さらに、年末のKEIRINグランプリ一番乗り。競技との両立には大きなアドバンテージとなる。表彰式では「もっと進化できると思う」と言い切った。日本の期待を背負い、世界へと羽ばたく。【山本幸史】

 ◆新田祐大(にった・ゆうだい)1986年(昭61)1月25日、福島県会津若松市生まれ。05年7月函館でプロデビュー。10年12月SSカップみのりでG1初制覇(単発レース)。その後、15年日本選手権、同年オールスター、16、17年高松宮記念杯、17年競輪祭、そして今回の全日本選抜と4日制G1を6度制覇。また、自転車競技では08年W杯チームスプリント2位などの実績がある。通算成績は852戦295勝。総獲得賞金は8億6006万437円。身長172センチ、体重86キロ。血液型はO。