04年デビューの佐藤貴也(33=浜松)が、SG初優勝を飾った。グレード戦は通算7回目のV。抜群のスタートから逃げ、激しい2番手争いも味方に先頭を守り切った。3連単は20万円に近い高配当だった。表彰式では「ベットオンミー」を絶叫した。

 「タカヤ劇場」の始まりだ。6枠から瞬時に先頭を奪う。「選手になって1番のスタートが切れた」と振り返る速攻だ。長い10周回。篠原睦、高橋貢、青山周平らが2番手を狙って絡み合う展開の中、必死で粘った。「ずっと音が聞こえたので、気を引き締めて走った」。1着でゴールに飛び込むと、手のひらを空に向かって何度も上げる。ファンの歓声が大きくなった。

 「これ以上ないくらい、うれしい」。涙とは無縁のどこまでも明るい男。感激のVにも笑顔とジョークの連発だ。レース後も「タカヤ劇場」は続く。表彰式では「ボクから買って取った方は、いいGWになる」で大拍手。SGウイナーになって「もっと車券を買ってもらえるように頑張る」で再度の大拍手が巻き起こった。

 マシンは最高に仕上がっていた。準決で十分に納得のいく動きを見せていた。「エンジンは何もしなかったが、全体に動きは良く、かなりいい手応え」。車に不安がまったくない以上、スタートに集中するだけだ。「トップスタートを切りたい」との宣言を見事に実践した。

 「今後は今日以上のレースを提供したい」。表彰式の最後。タカヤ劇場の締めくくりは、もちろん「ベットオンミー」だった。【天野保彦】

 ◆佐藤貴也(さとう・たかや)1985年(昭60)2月22日、静岡県生まれ。04年にデビューし優勝20回、1着344回。SGは12回目の優出で初優勝。ランクはS級9位。父桂士さんは元ボートレース選手。