ボートレースは「勝負駆け」の時期を迎えた。戸田ボート開設62周年のG1戸田プリムローズが明日7日から12日まで行われる。シリーズの見どころは年末のグランプリ、クイーンズクライマックス(QC)出場を目指す賞金バトル。さらに9戦士がそろった埼玉勢は戸田周年の地元勢3大会連続Vが懸かる上に、来年3月の戸田クラシック出場権獲得へ必死の走りが続く。

黒井達矢(30=埼玉)と秋元哲(29=埼玉)は10年前の11月15日に、ここ戸田でデビューした。苦楽を共にしてきた103期の同期だ。「意識? してませんよ」。黒井は笑い、秋元はクールに口をそろえた。あくまで「個」を強調した。

若いころから3期上の桐生順平の背中を追いかけてきた。センスがある1期下の中田竜太、2期下の佐藤翼の重圧もパワーに変え、技や精神力を鍛えた。

今年はそろって優勝3回。秋元は近年けがに苦しみリズムを崩したが、7月から2期ぶりにA1級に復帰した。「自分はまだリズムどうこうと言えるレベルじゃない。調整はエンジン次第。行き足は欲しいけど、来なければ違うレースのやり方もある」と柔軟な思考で復調してきた。来年の地元SGへ「出たい、いや出ます。みんなで行ければいいが、まず自分が頑張らないと」と気を引き締めた。

黒井も気持ちは同じ。「引き続き狙ってます。記念は戸田しか入ってないので、そこに照準を合わせたい。気持ちのリカバリーができています」。今年は2月浜名湖、9月住之江のフライングが痛かったが、メンタルは持ち直した。同期でも、中田や佐藤を含めた4人で地元周年を走るのも2回前の17年1月以来。黒井は「4人で記念に走れるのはうれしい。でも竜ちゃんも翼もうまいし、秋元も復活してきた。自分が一番下。追っかける立場」。ライバルの存在を刺激に、貪欲に勝利を求める。