清水裕友(25=山口)がG1初戴冠を果たした。

盟友・松浦悠士の先行に乗り、最終3角からの番手まくりでタイトルホルダーの仲間入りを果たした。早々と年末のKEIRINグランプリ(GP)出場を決め、松浦ともども中四国時代の到来を印象づけた。山口勢のG1タイトルは57年(昭32)高松宮記念杯(当時高松宮妃賜杯)の西村亀以来2回目。2、3着には平原康多、山田英明が入った。

勝つべくして勝った。GPを含めて9回目の決勝。清水がついに悲願を達成した。表彰式後、仲間の手で3回、カメラマンのリクエストでさらに3回宙に舞う。「うれしいですね。ここまで長かった。オッズを見て自分から売れていたし、期待に応えられて良かった」と、まだ夢の中にいるかのような表情を見せた。

盟友が体を張って作ってくれたお膳立てをフルに生かした。松浦は昨年の競輪祭で清水のまくりに乗って初タイトルに輝いている。その経緯もあり、今開催2日目のスタールビー賞では通算21回目の連係で初めて前を回ったが、失敗。この借りを大一番でのカマシ先行という形で返してくれた。そんな先輩を思い「松浦さんのおかげ。(落車が)心配です。うれしいけど複雑な気持ち」と表情を曇らせた。

それでも、山口勢にとっては大きな優勝だ。SS班の先輩である桑原大志が「素直にうれしい。今開催は本人も周りも、清水が優勝するムードになっていた」と言えば、鈴木啓一支部長は「自分が支部長をしている間にG1ウイナーが出るとは…」と目を潤ませた。3年連続のGP出場、SS班も決定した本人は「これからもタイトルホルダーとして、1戦1戦頑張りたい」と気を引き締めた。

十数年前、防府競輪場で自分と同じ小柄な佐藤慎太郎の走りに魅了され「慎太郎さんと一緒に走りたい」と手紙を送った少年が、GP覇者を破って頂点に。競輪の未来が長州の若武者に託された。【栗田文人】

◆清水裕友(しみず・ひろと)1994年(平6)11月9日、山口県防府市生まれ。誠英高で自転車競技を始め、10年8月高校総体ケイリン優勝、12年アジアジュニア自転車競技大会チームスプリント優勝。競輪学校105期生として14年7月に武雄(1<1>(1))でデビュー。通算429戦154勝。通算獲得賞金は2億4588万3000円。166センチ、78キロ。血液型はA。