東日本では2月静岡以来、約3カ月ぶりとなったグレードレースは、その静岡と同様に浅井康太(35=三重)の優勝で幕を閉じた。

ラスト1周で番手回りの流れを生かした。検車に戻ると前で逃げた野原雅也をねぎらった。また表彰式では「パフォーマンスを見せられてうれしい」と感慨にふけった。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、G1日本選手権を筆頭に多くの開催が中止になり、ほとんどの選手が1カ月半から2カ月近くブランクがあった。浅井も例に漏れず、前検日は「モチベーションの維持が難しい。次の戦いがどこになるか分からず、片頭痛にもなった。状態も分からない」と不安を口にしていた。

それでも浅井は浅井。初日に自力勝負で課題を探り、普段と同じように丹念にローラー練習を繰り返した。準決を終えると「野原君に迷惑かけず、番手の仕事ができる」と、初日別線だった野原マークを決めた。そして絶好のV展開を呼び込んだ。そして表彰式を終えた後も、浅井の姿はローラーの上にあった。

「どんな状況でも勝ちたい」。再度目指すさらなる高みへ、戻ってきた強い浅井が、コロナ禍に苦しむ競輪界を盛り上げる。